ここからは性能チェックに移りたい。本機には「MSI Center」というアプリを使って動作モードを設定できる。性能を抑えて動作音を静かにする「Silent」、標準設定の「Balanced」、性能重視の「Extreme Performance」が用意されており、まずは、定番ベンチ「PCMark 10」、「3DMark」、「CINEBENCH R23」で動作モードごとの性能を見てみたい。
PCMark 10のスコアは、CPUにCore i9-11980HKを採用しているだけに優秀だ。Silentモードでもクリエイティブ系の処理となるDigital Content Creation以外に大きな違いはない。WebブラウザやOfficeアプリの利用、動画再生といった使い方なら動作音が静かなSilentモードで運用してもよさそうだ。
その一方で3DMarkやCINEBENCH R23ではSilentモードだとスコアがガクッと下がる。CPUやGPUをフルに使うような処理では、BalancedやExtreme Performanceに設定して使用するほうがいいだろう。
ストレージの性能も見ておこう。今回の試用機にはSamsungのMZVL21T0HCLR-00B00が搭載されていた。CrystalDiskMark 8.0.3の結果を見ると、シーケンシャルリードは6667.54MB/s、シーケンシャルライトは4918.51MB/sとPCI Express 4.0 x4対応NVMe SSDの性能を十分引き出せていると言える。
続いて、各モードのCPUの動作クロックと温度を確かめてみたい。OCCT 9.0.4の電源テストを10分間動作させたときのCPUとGPUの動作クロックをHWiNFO64 v7.05で追っている。
CPUクロックはExtreme Performanceだと全コア動作時で約3GHz~3.1GHzをキープ。Balancedは最初こそ3GHz以上で動作するが、最終的には約2.7GHz~2.8GHzで落ち着いた。Silentは開始20秒程度で一気に1.9GHzまで落ち、その後は約2.1GHz~2.2GHzで動作とほかのモードよりも動作クロックはかなり低い。CPU温度の推移を見れば分かるが、Silentモードはクロックが下がると同時にCPUの温度も一気に下がっている。ファンを回転させて冷やすのではなく、動作クロックをガクッと落とすことでCPU温度を下げている。性能を抑えて静音性を高めているのだろう。
CPU温度はExtreme Performanceだと95度前後と高めで推移するが、それでもキーボードの上部がほんのり暖かいと感じる程度で操作に支障はまったくない。2基のファンでうまく排熱されていると言える。