今ではオーディオメーカーだけでなく、グーグルにアップル、サムスンやファーウェイなど海外勢を中心にスマホを手がける大手メーカーもたくさんのワイヤレスイヤホンを商品化、発売しています。スマホメーカーのワイヤレスイヤホンを選ぶ時の「目利きのポイント」については、春に本誌の短期集中連載をぜひご参照ください。
スマホーメーカーによるワイヤレスイヤホンの中には、簡潔に言えばハンズフリー通話をサポートする「コミュニケーション機能」に特徴がある製品が数多く見つかります。
サムスン「Galaxy Buds Pro」が搭載する、イヤホンを装着した状態でユーザーが会話を始めたことを認識して、イヤホンが自動的にノイズキャンセリングモードから外音取り込みモードに切り換えて、音楽の音量を下げてくれる「音声検出」機能などが典型的な事例です。
初代のPixel Budsには先述した「アダプティブサウンド」や「アテンションアラート」など、音楽再生やハンズフリー通話をサポートするユニークな機能が揃っています。
開放型で快適に装着、日常生活で使いやすい
Pixel Budsシリーズは「開放型」と呼ばれる、イヤホンを装着した状態で外部の環境音にも注意を向けるために有利な構造を採用しています。
新しいAシリーズもシリコンイヤーピースを使って耳穴にぴったりとフィットさせて使うイヤホンですが、本体ノズルのあたりに小さな空気孔を設けて耳に負担をかける内部圧を逃がしつつ、周囲の環境音が自然に取り込めるように設計しています。
屋外を歩きながら、スポーツで身体を動かしながらの音楽再生、ハンズフリー通話をより安全にできるメリットが得られます。
スマホメーカーならではといえる開放型へのこだわりは、Pixel Budsシリーズとして新製品にも貫かれています。現在は本体に内蔵するマイクで外の環境音をモニタリングする「外音取り込み」の機能を載せたワイヤレスイヤホンも数多くありますが、電気的な信号処理を行わずに外の音が聞こえる自然な感覚を好む方はPixel Budsシリーズを試してみることをおすすめします。
小さなイヤホンなので通話マイクの性能も気になるところかもしれません。Aシリーズは音声通話時に、片側イヤホンに2基ずつ搭載するビームフォーミングマイクが口もとに狙いを付けて集音します。
周囲の環境音も合わせてモニタリングしながら騒音を最小限に抑え、人の声だけをクリアに届けるアルゴリズムも出来映えが良いと思います。家族にAシリーズを身に着けてもらってハンズフリー通話を試しましたが、ノイズ感の少ない明瞭な通話音声を届けてくれました。
AndroidとiPhone。使い勝手に差は付く?
AシリーズもやはりグーグルのPixelシリーズをはじめとするAndroid OSを搭載するスマホなど、モバイルデバイスとの相性がとても良好です。Android OS 6.0以上の端末とのBluetoothペアリング設定は、スマホのBluetooth設定にアクセスしなくてもワンタッチでできる「Google Fast Pair」が使えます。
iPhone、またはポータブルオーディオプレーヤー等にペアリングして使う場合は、Aシリーズの充電ケース背面にあるボタンを長押しするとLEDランプが点滅してペアリングモードになります。あとはiPhoneのBluetooth機器リストに並ぶPixel Budsを選択するだけ。こちらもシンプルです。
iPhoneの場合、Aシリーズからのリモコン操作に使い勝手の差が現れます。音楽再生、ハンズフリー通話の基本操作はできるものの、長押し操作で音声アシスタントが呼び出せません。iPhoneのSiri、Googleアシスタントアプリも起動できないのがやや残念です。
従ってPixel Budsシリーズの特徴的なリアルタイム外国語翻訳も使えません。アダプティブサウンドも非対応であることから、Pixel Budsシリーズらしい機能をフルに使い倒したいのであれば、やはりAndroidスマホと一緒に使うのがベターなイヤホンだと思います。
最近はアップルの「AirPods Pro」、ソニーの「1000Xシリーズ」などのイヤホンに代表される「ノイズキャンセリング機能搭載」の完全ワイヤレスイヤホンにスポットライトが当たっています。
Aシリーズと価格が近い、1万円台の安価な完全ワイヤレスイヤホンの中にもノイズキャンセリング機能を載せた製品が少しずつ増えています。グーグルのPixel Budsシリーズにも、今後Aシリーズの「上位モデル」としてぜひノイズキャンセリング機能搭載機の誕生を期待したいと思いますが、まずはよりお手頃価格になった「グーグルのワイヤレスイヤホン」による便利機能の数々をGoogle Pixel A-Seriesで楽しみ尽してみるとよいでしょう。