――『逃げ恥』でのお仕事で印象に残っている出来事はありますか?

『逃げ恥』のディレクターさんをはじめ撮影スタッフの皆さんは美術セットを隅々まで使ってくださり、とてもありがたかったです。平匡さんを演じた星野さんも撮影に入る前にセットを見て回ってくれた。エンディングの“恋ダンス”に出てくる、「開くと照明がつく本型のライト」は、星野さんがセットを探検した結果「こんなのあるんだ」と見つけてくれて、エンディングに採用されることになったんです。「あのアイテムはなんだ」と当時話題になり、うれしかったです。

――ぬいぐるみ「もちくま」もアクセントになっていると思ったのですが、採用したのにはどんな経緯があったのですか?

「もちくま」はプロデューサーの好みで買ってきて「セットに飾って」とリクエストされたものなんです。家にキャラクターを飾るみくりさんのイメージがちょっと湧かなかったものの、置いてみたらみくりさんと平匡さんが「かわいい」ともちくまを愛でるようになってくれました。

その後、2人が「もちくま」を持った写真をTwitterなどで発信したらものすごく話題に。それからドラマの中でも「もちくま」の地位が上がり、ちょこちょこ出てくるようになりました。そのきっかけはお二人が「もちくま」を見つけて気に入ってくれたから。グッズ化もされましたし、「もちくま」のメーカーさんから大量の「もちくま」もいただきました。思わぬところで火がついて人気になったので思い出深いですね。

――『逃げ恥』もそうですが、すでにファンがついている原作を実写化するにあたり、気をつけていることはありますか。

すでにたくさんのファンがついている原作を実写化するほど難しいものはないです。固定のイメージが出来上がっていますし、視聴者の期待を裏切らない世界観作りは美術セットだけでなく、プロデューサーや衣装、メイクのスタッフみんなが一生懸命、模索します。また、「現実ではこうだよね」とされるものも、ドラマは「現実よりちょっと夢を取り込む」作業も大事ですね。やはりドラマですので、そこは夢を盛り込まないとなって思っています。現実と夢、そのいいバランスをみながら作っています。

――“津崎家のリビング”のレンタルスペースは船山さんも参加されて再現に協力したとか。

ドラマセットとは間取りも広さも違います。あるものの雰囲気を活かしつつ、津崎家のテイストを盛り込みました。家事分担表、ホワイトボード、2人の子供の命名書など実際にドラマで使った小物も散りばめ、リビングには劇中で使った同じ商品を準備しました。完全再現とはいきませんが、カーテンの色やソファーの位置、パーティー飾りは本編に寄せるように心がけました。

■「逃げ恥スペース presented by TBS」-私とみくりと平匡と-
「逃げ恥」の“津崎家のリビング”を再現したレンタルスペースは1度に最大8人までスペースマーケットから予約可能。利用料金はサービス料込で4,065円~で、4時間セットの受付となる。貸出期間は2021年7月22日から10月31日までだが、8月31日までは予約が埋まっており、9月1日からの利用は8月18日より予約が開始される。所在地は東京都世田谷区奥沢6-1-21奥沢ハイツ1F。スペースの詳細はスペースマーケットのサイトで確認ができる。なお、新型コロナウィルス流行状況により内容や期間が変更になる場合あり。商業目的の利用は一切不可。