小出の俳優としての魅力を尋ねると、「真実味に感心のある方。私も真実味のほうに重きを置いているので、ものすごく共感するところがありました。『ここでこのセリフ言う?』と疑問を抱かれているとき、私も全く同じ思いでした」と答え、「演技においてリアルを追求されていて、そこは共通認識だったので、ご一緒していてすごく居心地がよかったです」と語った。
また、小出の座長としての気遣いに感謝しているという。「初めて直接お会いしたときも、積極的に話しかけようとしてくださっているのを感じました。一緒にケーキを食べたんですけど、会話が終わらないようにしゃべってくれて、これから一緒に作品を成立させていくわけだから、座長としてしっかりこの場を作ろうというのを感じました」。
その小出の気遣いは「現場でも終始感じました」とのこと。「みんなが居やすい空間にして、この作品がちゃんと良い方向に持っていくのだと、そういった思いをすごく感じました。共演者の方ともバランスをとろうとしてくれているなと。居心地の良い現場にしてくださり、本当にありがたかったです」とその振る舞いに感謝しきりだ。
印象に残っているシーンとして、酒野が涙するシーンの裏話も語ってくれた。「台本上で酒野が涙すると書かれてあったのですが、リアルを追求したときに涙するのだろうかとお互い思いながら、いざ現場に立ってみると、小出さんが本当に泣かれて。2人で不安に思っていたことが、現場に立ったら乗り越えられたなという、印象深いシーンになりました」。
続けて、「そういった感情の吹っ切れは、複合的な要因がないと起きない」ときっぱり。「カメラマンの方も、この感情は一発でいくしかないという覚悟と度胸のカメラマンで、その度量に応えた録音さんや、照明部さん、計算ずくでありながら最後は現場にゆだねてくださったおさむさんの脚本もあります。また、小出さんに聞いたら、小池徹平さんの純粋な芝居によって心が引き寄せられ泣くことができたとおっしゃっていました」と、キャスト・スタッフみんなの力が合わさって素晴らしいシーンが生まれたのだという。
「誰か1人の天才によって何かが起きるのではなく、あらゆる人が関わった上で素敵なことが起きると信じています。そんなシーンがこの作品にはいくつもあります」と力強く語った。
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