――子役時代からテレビドラマの舞台裏をよく知っているはずの福さんですが、仮面ライダーやスーパー戦隊の各ヒーローたちの活躍は純粋な心で楽しまれているのでしょうか。

あれだけ芸能界での経験が長く、ドラマ撮影の表も裏も知り尽くしているはずなのに、スーパーヒーローに夢と憧れを感じるピュアな部分も自身の「芯」としてずっと持ち続けている。すごく芯の強い人だなと思いましたね。福くんの存在なくしてはこの映画は成立していません。福くんの演技をぜひたくさんの方々に観ていただきたいです。

――ラストシーンは福さんの卓越した演技力によって、かなり感動的に仕上がっているとうかがいました。

特撮監督の佛田(洋)さんが完成試写を観て「泣けた……」と言ったほどですからね。佛田さんを泣かせたら、もう怖いものはないですよ(笑)。

――人間が備えている無限の想像力のすばらしさ、そして作り手の思いを受けて永遠に生き続けるヒーローの強さ、たくましさなどのメッセージ性、テーマ性が込められた、よいシーンですね。スーパーヒーロー全員集合という「お祭り」感覚と、観客の方々の心に響く「メッセージ性」の両方が含まれた映画こそ、最強のエンターテインメントという気がします。

こういったアニバーサリー映画には「お祭り」しか求められてないのは百も承知ですけど、諸先輩から託されてるのは「メッセージ性」のほうだと思うので、両立させるのにむちゃくちゃ苦労するんです。一度、そういう外圧を取っ払って、メッセージ性だけに特化した、ドラマ重視の作品を作ってみたい欲求はあります。でも娯楽要素がなくなって、夏休み公開の映画にはなりえない気がします(笑)。

――最後に、白倉さんから本作『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』の見どころをひとこと、お願いいたします。

映画が後半にさしかかるころ、シーン20~24まで5シーンをワンカットで撮った約7分間の「長回し」にご注目ください。田崎(竜太)監督ご自身が完成した映像を観て「するっと(違和感なく)観れますね」と感想を述べられましたが、いわゆる「ヒーロー映画」であんな挑戦をした田崎監督の勇気に打たれます。

ワンカットで撮るということは、スタッフ含めて誰かがどこかで一瞬ポカやっただけで振り出しに戻ってしまう。ずっと映りっぱなしの内藤くんは、大変だったと思います。あの難しい撮影を見事に乗り切り、本当に見直しました。全ライダー・全戦隊の活躍もさることながら、田崎監督をはじめ全スタッフとキャストが全身全霊をかけ、まる1日かけて作り上げたこの7分間があるだけでも、本作は映画としての価値があると思っています。『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』、ぜひ劇場のスクリーンで存分に楽しんでください!