――杉本ちさとは殺し屋ではあるものの、同世代の女の子の共感を集めそうな要素もあります。役柄として特に意識したことは何ですか?

『ある用務員』のリカとは違うものを見せたいとは思っていました。リカはアニメのキャラクターっぽいというか、人間味を消したところがあるんです。でも、今回のちさとは私にすごく似ているところがあるので、役作りで固めるとうよりは、自然体で入りました。リラックスしたオフビートなコメディの側面もあったので、日常的な感じを重視しました。

――ご自身と似ている点とは?

天真爛漫で明るくて元気な女の子ですが、急にスイッチが切り替わり、達観しているドライな女の子にもなるんです。私も日常的に自分の中に2人の人間が存在しているなと思うことが多いので、そういう部分で似ているなと思いました。自分自身と、その自分を評価する自分という分け方をしているような気がします。

――撮影外でも常に銃(撮影用のレプリカ)を持っていたそうですね。

日常的に銃を持っている役なので、劇中で不自然に見えないように、重さも含めて銃に慣れないといけないなと。練習期間も銃は持っていましたが、そこから期間が空いての撮影だったので、不自然に見えたら嫌だなと思って常に持ち歩くことにしました。

――今回の作品を経て、女優としての収穫はありましたか?

私は舞台作品への出演が多く、演技レッスンなどで「舞台芝居だね」と言われることが多かったんです。いい意味で使われることもある言葉だと思いますが、おそらく私はよくない意味で「舞台芝居だね」とずっと言われていたと思います。なので今回、映像にどう自分が映るかすごく心配でした。ありがたいことに映画を観た方たちから「ナチュラルだったね」と言ってくださる方が多くて、一歩前に進めたのかなと思います。

――今回のキャラクターは、オフビートな作風にマッチした(殺し屋だけれども)等身大の女子高生の体現に成功していたのではないでしょうか。

たぶんちさとと似ていたということも大きいかなと思います。

――今後、どういう女優を目指したいでしょうか?

今、とても楽しくお芝居させて頂いています。もちろんつらいことはこの先もあるとは思いますが、楽しくお芝居が続けていければいいなと思います。

■高石あかり
2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。2016年4月よりダンス&ボーカルユニット「α-X’s(アクロス)」のメンバーとして活動。2018年にグループが解散した後は、女優へ転身。2020年に舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子を演じ、注目を集める。映画『ある用務員』(2021)では女子高生の殺し屋リカを演じ、強烈な存在感を残した。そして、初主演映画『ベイビーわるきゅーれ』(7月30日公開)で2度目の殺し屋役に挑戦。また、再び竈門禰豆子を演じる舞台『鬼滅の刃』其ノ弐 絆が、8月7日に開幕する。