ズームはデジタルで最大6倍
ズームボタンをタッチすることで画角が変わり、19mmが0.7倍、24mmが1倍、48mmが2倍という表記になっています。AQUOS R6ではアイコンで超広角や望遠を表記していたので、LEITZ PHONE 1の方がわかりやすい表記です。
デジタルズームは最大6倍まで対応し、ピンチアウトでズームします。AQUOS R6では、ズームボタン長押しからスワイプでシームレスにズームできますが、LEITZ PHONE 1ではその機能は使えないようです。
なお、どの倍率にしてもデジタルズームなので、RAW(DNG形式)で撮影すると全て19mmの画角になります。RAW+JPEGで保存すると、RAWの19mmの画像とデジタルズームしたJPEG画像が保存されます。
AQUOS R6にない機能としては「ブライトフレーム」機能があります。これはライカのレンジファインダーカメラにも搭載されている、ファインダー内で撮影範囲を示す光の枠です。
ファインダーの画角とレンズの画角が一致しないために必要な仕組みですが、24mmと48mmの際にはこのブライトフレームが表示され、実際の撮影範囲を示してくれます。
これは設定でオフにすることもできますが、「ライカらしい撮影」ということでオンにしていても面白いでしょう。もちろん、デジタルカメラとしては意味のない機能ですが、それもまた一興という気持ちになります。
LEITZ PHONE 1の35mm判換算のレンズ表記焦点距離は19mmですが、EXIFには18mmと記録されています。
24mmや48mmにズームしてもデジタルズームのため、EXIF上は実焦点距離6.85mm、35mm判換算18mmとしか記録されていません。
EXIFにはデジタルズームの項目があって、そこには24mmなら1.2倍、48mmなら2.6倍と記録されています。後から焦点距離を確認したい場合は、これを見れば撮影時のズーム倍率を確認することはできます。
ただし、ブライトフレームを表示した状態だと、24mmで撮影すると1.0倍、48mmで撮影すると1.9倍としかEXIFには記録されません。
ブライトフレームを表示しているだけで、実際のデジタルズーム倍率が異なるためにこのような結果になるようです。ズーム倍率をEXIFで判断しづらい点は気にかかるところです。
描画力が高く、リアルな写りが魅力
とはいえ、画質に関しては高レベルです。素直でデジタルカメラのようにリアルな写り。決して派手な画像処理はされていませんが、描写力自体は高く、落ち着いた発色も自然。
全体的に完成度は高く、「1インチセンサー搭載の高級コンパクトデジカメで撮影した」と言っても通る画質です。
AQUOS R6の写りと比較すると大きな差はないようで、基本的な画像処理やレンズ性能は同等と感じました。逆に言えば、AQUOS R6もカメラはライカの全面監修なので、同じ写真が撮れると考えてよさそうです。ただ、シーンによって露出コントロールが少し異なるような気もします。
AF(オートフォーカス)はコントラストAFで、レーザーAFを併用して高速AFを行おうとしています。ただ、速度と精度はデュアルピクセルや像面位相差ほど高くありません。
マクロ性能も控えめで、レンズ前12cmぐらいが最短撮影距離のようです。細かい被写体だとピント抜けが発生しやすく、「マニュアル写真」モードにしてMF(マニュアルフォーカス)を使うと安全です。ただ、MF時にピント位置を拡大してくれる機能はないようです。
マニュアル写真モードだと、ホワイトバランスやISO感度、シャッタスピード、色合いなどを変更できます。RAW撮影もここで設定可能です。
LEITZ PHONE 1独自の機能としては「LEITZ LOOKS」があります。これはモノクロモードで、ライカらしいしっとりとしたモノクロモードになります。手軽にモノクロ撮影ができるのは便利です。
AFに加えて、シャッターを押してから実際に撮影されるシャッタータイムラグが長めなのも気になったところです。基本的には、素早く動く被写体のシャッターチャンスを捉える、というよりも落ち着いてじっくり撮影するのに向いているようです。
どちらかというと、マクロの弱さも含めて「レンジファインダーカメラ的」という印象があり、そうした気分で撮影するとよさそうです。
パフォーマンスの高い実力派スマホ
スマートフォンとしては、Snapdragon 888を搭載するため、性能面では十分なスペック。ライカという強いブランドを冠して、スマートフォンの性能が残念だともったいないところですが、ハイエンドスマートフォンということで一般的な用途では全く問題を感じません。
Snapdragon 888は性能向上の結果、発生する熱量も増えている印象があり、使っていると背面が温かくなります。ベンチマークを取ってみるとてきめんに温かくなりますが、「初夏の日差しの中でカメラを起動している」と強制終了するシーンもありました。
ベンチマークではフルスピードではなくやや抑えめのパフォーマンスで、どちらかというと安定性を重視しているようです。その分、発熱を抑えられるという判断かもしれません。実際、別のスマートフォンでは、ベンチマークの繰り返し試行でパフォーマンスが変動し、安定していませんでした(その分、LEITZ PHONE 1よりパフォーマンスが高いこともありました)。このあたりは設計思想の違いでしょう。
AQUOS R6と同様、画面は鮮やかで低消費電力という、シャープが新開発した有機ELディスプレイ「Pro IGZO OLED」を採用。晴天下でも見やすく、見栄えのするディスプレイです。
シャープ独自の自動回転充電台「ロボクル」に関するような一部機能は削除されていますが、代わりに搭載されているのがウィジェットの「LFI Widget」の搭載です。ライカカメラで撮影された写真を紹介するLFIギャラリーの写真を表示するというものです。
スマートフォンとしては十分に完成されたもので、使い勝手も悪くはありません。ライカとしてカメラとデザイン以外はほぼシャープを踏襲したようですが、カメラだけでないトータルのライカとしての設計も見てみたかった気がします。とはいえ、第1弾ですので、今後スマートフォンの設計にももう少し携わって、さらなる独自色も期待したいところ。
とはいえ、ハードウェア的に独自は難しいでしょうから、カメラと連携する部分で、もう少しライカ色があると面白いと感じました。今後もシャープとの提携は継続するとのことなので、第2、第3弾と、さらなる製品の登場を期待したいところです。