華丸が演じる西郷隆盛の勇壮さ

倒幕の準備に余念がない岩倉具視(山内圭哉)だったが慶喜が大政奉還したため、先手をとられたと苛立つ。そこへ朝廷から呼び出しが来た。明治天皇に頼られ、5年の長い間の蟄居のすえ、ついに出番が来たと張り切る。こうして岩倉の采配で、12月9日、突如、王政復古が宣言された。

それでもなお岩倉の思い通りにはいかない。慶喜を外すことを反対する者もいて、頭が切れるが人徳はないと聞いていたのに……と困惑していると、西郷隆盛(博多華丸)がふらっとやって来て戦をするように進言する。

「戦がしたくなかちゅうならしたくなるようにすっだけじゃあ」と不敵な西郷。演じる華丸は、いつもバラエティで見る雰囲気とは違って豪放磊落と言った感じの力強さを放っている。かつ見開いた瞳もらんらんとしていて華もあった。

一方、岩倉具視はどこか胡散臭い。以前の大河ドラマ『西郷どん』(18年)では笑福亭鶴瓶が演じていて今回は山内圭哉。どちらも関西出身でやわらかく当たりのいい関西弁を発する。公家の胡散臭さを表現するにはやわらかい関西弁が合っているのだろうか。

洋髪になった篤太夫と昭徳の凛々しさ

パリで民部公子は留学生活に入り、それにあたってまげを落とし刀を外し洋服を着なくてはならなくなった。水戸藩士たちは大和魂を失うことを激しく嘆く。

まげを落とした篤太夫は洋装と横分けの髪型がお似合い。和装で曲げ姿も似合っていたが(フォトグラフに映った姿もかっこよかった)、よりイケメン度が上がった。民部公子も洋装が似合っている。外国の人たちからも「皇太子」らしいと高評価。

こうして外国人との交流は続き、多くのことを学んでいく篤太夫。「身分などにかかわりなく誰もがその力を試せる場で励むべきだと」と感化され、この理こそ日の本にうつさねばと熱くなる。

一緒にパリに来た者たちが続々日本に戻っていく中で、パリに残って書記や会計も全部引き受けた篤太夫は運が良かったという印象。もちろん経済に強いというこれからの時代に役立つ能力を持っていたからであるわけだが。洋装にもすぐ馴染むのも次世代の者らしい。

休止明け、篤太夫の活躍と日本の変化を楽しみに待ちたい。第24回の放送は8月15日。

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