■細部まで採寸

SHITATEのオーダースーツは「パターンオーダー」といって、ある程度の形が決まった状態から自分に合わせたサイズに調整していくもの。自分のサイズに近い見本服を実際に試着しながら、袖やパンツの丈感、ウエストの締まり具合などを細かく調整していく。

  • 細かい調整を見極めるのはプロの技

「体の線をきれいに見せたいならウエストは少し絞ることをおすすめします。パンツの丈は短めだと足首が見えてスタイルがよく見えます。でも、座ると脚が結構見えてしまうので、程よい丈感が大切ですね」と語る千田さん。試しにパンツの丈を短くして椅子に座ってみると脛がかなり見える状態に。オーダーだと自分にあった丈感を見極めて注文できるので、普段なかなかフィットする服に巡り合えない人にも良さそうだ。

  • 社章などを付けるフラワーホール。元々は一輪の花を挿す習慣があったことからこの名前が付いたのだとか

そして見本服を着ながら服のカスタマイズも決めていく。ピスポケットの有無や、ジャケットの腰ポケットのデザイン、フラワーホールと呼ばれる社章などを付けるバッチ穴など細かい部分までこだわることで、より自分の一着へ近づいているようだった。

  • 見本服は通常のスーツだが、カスタマイズで本開き仕様に変更ができる

個人的にこだわったのは、ジャケットの袖ボタン。3つと4つと数を選べるのだが、「本開き」といって実際にボタンを付け外しできるオプションを追加した。よくある市販のスーツはボタンがフェイクだが、高級なスーツではボタンを実際に使えるため、オーダーならではおしゃれ感を演出したいところ。

そしてこちらもオプションで「AMFステッチ」を追加した。ジャケットの襟などの周りの手縫い風ステッチのことで、襟が体に沿ってきれいに見えるため立体感をキープしてくれるそう。このステッチを追加することで上品で清潔感のある雰囲気に仕上がることを期待する。

■カスタマイズでこだわりの一着に

服の形、そしてサイズが決まったところでいよいよ服の素材やカスタマイズを決めていく。ここが本日のハイライト! たくさんのカスタマイズから好きなものを選んでいく過程はかなりわくわくする時間だった。

  • カスタマイズや生地について丁寧に教えてもらった

まずは服の生地選びから。バインダーに挟まれた生地見本は辞書よりも分厚く50種類以上はあるそう。素材によって価格が異なり、価格帯は3万1,900円、4万2,900円、5万3,900円これにオプション代を足したものがオーダースーツの価格となる。

ストレッチ素材、ウォッシャブル可能な素材、肌触りが良いもの、春夏向けの素材などなど、色味や柄、性能が違う生地を一つずつ触りながらどれにしようか悩む時間が楽しい。無地、ストライプ、チェック柄に加えて色も豊富で、これなら好みのものがきっと見つかりそうだった。今回は、薄めのブラウンをベースに薄いピンクのチェックが入った、かわいらしさのある生地に決定。ウォッシャブル機能を選べるのも決めての一つだった。

  • 一枚ずつ生地を触って好みのものを見つけていく

生地が決まったらボタン選び。オプションは無料から有料のものまで、選んだ布にボタンを重ねながら選ぶ。この色味が合いそう、このボタンならどんな雰囲気になるなど、アドバイスをもらいながらチョイス。薄めのベージュブラウンの生地に合わせて、色がはっきりしたブラウンのボタンに決めた。

  • 生地に重ねてボタンとの相性を確かめる

さらに裏地もいろいろとカスタマイズが可能。裏地では色の他、ウォッシャブルが可能なポリエステルなどから選べる。キュプラ素材とは、つるつるとした触り心地の良い素材で、吸放湿性があり静電気が起きにくいのだそう。着心地が良く、服を着る時に突っかかりにくくなるため人気の裏地として選ぶ人も多いのだとか。家庭でもスーツを洗濯したい人にはウォッシャブル加工が人気だそう。

  • 完成は2週間後! ワクワクしながら出来上がりを待ちましょう

来店から試着、カスタマイズまでかかった時間は90分ほどだった。スーツの完成は約2週間後。真っ黒な見本服で試したスーツがどんな姿になるのやら。

(後編へ続く)