吉沢や板垣ら日本人キャストのグリーンバックの撮影では、なるべくそのシーンをイメージできるように、絵コンテやプレビズと言われるVFXチームがCG上の人物を向こうで撮った素材にはめたものを用意したり、当時の絵や写真を大伸ばしにしたものをセットに置いたりしたそうだ。さらに監督自身が身振り手振りで、役者のインスピレーションを喚起させるように努めたとか。

「ナポレオン三世との謁見という生身の人間を相手にするシーンなので、相手との距離感や、向こうの視線がどのくらいの高さなのかがわかりづらいので、目線の位置を棒で指し示したりもしました。もちろん役者さんは、普段、相手役がいるなかでお芝居をされるので、相手がいないことへのストレスは相当あったのではないかと。吉沢くんもきっと大変だったと思うけど、私自身は彼の困っているような姿を見てないし、きっとご本人は楽しんでやってくれたのではないかと。実際に、彼はイマジネーションを広げて、思い切った芝居をやってくれたという印象で、やはりそういうところが吉沢くんのすごいところだなと思いました」

VFXと実際に撮った映像が自然に馴染むようにいろんな工夫がされたそうだ。「例えば、役者さんが手すりに手をつくシーンがあるんですが、そういうシーンがけっこう難しくて。その手すりと同じ幅の厚みをもったグリーンのものを作り、そこに手を置いて撮った映像を、フランスで撮ったものに被せるんです。それこそcm単位で縮尺を考え、日本で接地面を作り込みました」と、合成に見えないよう、試行錯誤して作り上げたそうだ。

「役者さんに自由に芝居をしていただいてこその映像で、そういうものがナチュラルさを生み出します。他にも当時すでにあったエレベーターに乗るシーンがありますが、そこはセットで作り、非常にアナログな方式で撮影しました。合間にそういうシーンが入ることで、両方のリアリティを上げていきました。もちろん万博は完全にVFXですが、そうじゃない映像と組み合わせて作ったものです」

話を聞けば聞くほど、陰で奮闘したVFXチームや懸命にリアルな芝居を心掛けた役者陣には頭が下がる。予告編を観たかぎり、完成した画はリアルな映像と見紛うようなものになっているのではないかと。第22回からは、吉沢たち俳優の熱演だけではなく、背景などのディテールにも注目して観てほしい。

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