俳優の賀来賢人が、4日にスタートしたTBS系日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(毎週日曜21:00~)で初の医師役に挑戦。厚生労働省の官僚であり医師という“異色の役柄”を演じている。賀来にインタビューし、演じる音羽尚の役作りや、医療シーンの大変さ、主演の鈴木亮平との共演など、話を聞いた。
世帯平均視聴率14.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と好スタートを切った本作は、「TOKYO MER」という救命救急のプロフェッショナルチームを舞台とする本格救命医療ドラマ。最新の医療機器とオペ室を搭載した大型車両(ERカー)で事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す「TOKYO MER」のリーダーで、驚異的な救命技術を持つスーパー救命救急医・喜多見幸太を鈴木亮平が演じている。
賀来が演じるのは、「TOKYO MER」のチームメンバー・音羽尚。音羽は、厚生労働省の官僚でありながら医師でもある医系技官で、若手エリート官僚として厚生労働大臣の意を受け、「TOKYO MER」に正式認可を与えないために派遣された、いわばスパイ。命懸けで救命にあたるMERチームのリーダー・喜多見に反発するが、次第に2人は共鳴し、最高のバディとなっていく。
賀来は「ものすごく複雑なポジションにいる。医者ですが厚生労働省の官僚で、日本の医療体制を改革して日本に利益をもたらしたいという考えと、医療現場で目の前の命を救いたい、という考えの狭間で戦っている」と演じる音羽について説明。「かわいそうだなと思い、演じていて苦しい役ですが、視聴者が寄り添える心情を持っている人なので、丁寧に演じていきたい」と語った。
音羽は「TOKYO MER」にとってはスパイだが、悪者とは捉えていない。「厚労省が言っている日本の医療を改革するというのと、MERのとにかく目の前の命を助けるというのは、どっちも正論。スパイ=悪者という表現の仕方ではなく、どっちも正論に見えるような作り方をしたいと、亮平くんとも話しています」。
医療シーンの苦労も告白。「大変ですね。命を扱う作品ですし、嘘があってはいけない。監督がOKを出しても先生(監修を担当している医師)がOKを出さないときもあります。所作や医療的な専門用語もそうですが、最初にどこに目がいって次にどこを触るという段取りまで事細かに決めているので、普通の芝居のシーンが楽に感じます。医療シーンが一番緊張しますし、突き詰めてやっています」と明かし、「スピード感がリアルになるように僕らもできる範囲でやっているので、画面を通して伝わると嬉しいです」とも話した。
また、見どころの一つである「ERカー」について、「実際に使えるように作られていて、凝った美術があるとリアリティを感じられるのでお芝居をする上ですごく助かっています」と述べ、「毎回あの車から飛び降りるので、そのたびにちょっとずつ膝を痛めています(笑)」と冗談交じりの告白も。ちなみに、「ERカー」は現実には存在しない架空の車両で、8トン車を6カ月かけて改造して作られた。
本作で成長できていることを尋ねると、「初めて会った人を命がけで助けるという、医療従事者の方たちや救急隊の方々のモチベーション、向き合い方には、とにかく尊敬しました。ドラマでは熱く助けるという風に描いていますが、先生方にインタビューしたときに、実際はとっさに命の選別をしないといけないと。1人の人間が決めるにはあまりに酷ですが、それをしなければいけない、かつ最低限のリスクで多くの人を救うというのを、当たり前のように毎日やっている方々が世の中にいると感じられただけでも、価値観が変わりました」と語る。
医療の現場の厳しさを改めて感じ、役と向き合っている賀来。「嘘なく一生懸命やるしかない。こういう人たちがいるということを視聴者に知ってもらえるだけでもいいのかなと思っています。当たり前のように毎日、実は事故が起きていて、そこに駆け付ける方々がいるということが伝えられれば」と話した。