誰もが共感し得る“自分の夢”や“家族との関係性”を中心に掘り下げることにより、LGBTである幸世さんが、周囲の人たちと同じように生活を送る日常がよく伝わってくる内容に。最近、売れないお笑いトリオが繰り広げる家族や恋人、周囲の人々との青春群像劇を描いたドラマ『コントが始まる』(日本テレビ、21年4~7月)が話題になったが、今回のドキュメンタリーは、そのリアル版という印象も受ける。

しかし、関Dは「現実はドラマのように甘くないですね。『コントが始まる』は劇場に10人くらいお客さんが入ってましたけど、現実はいつも1~2人だし、あんなに美人で熱心なファンや恋人もいないし(笑)。それに、芸人の皆さんは芸歴10年というのはまだ浅くて新人のような位置づけで、だいたい30代、40代までやってるので、現実はもっと厳しい世界だなと思いました」と見ていたようだ。

■親子が連絡したくなる番組に

幸世さんと両親の関係を見て、コロナの影響で長期間中国に帰れていない関Dは「自分の両親のことを思い出しますね。子供の頃はお金もかかったし、迷惑もかけただろうし」と、心境を吐露。

その上で、「何年も連絡していないとか、親子の関係が悪い方もいらっしゃると思います。でも、この番組を見て、『今日はお母さんにちょっと電話してみようかな』とか、『上京した息子も頑張ってるかもしれないから、連絡してみようかな』と思ってくれたらいいなと思います。困ったことがあって誰にも頼れなくなっても、きっと最後まで助けてくれるのは親だと思いますから」と呼びかけた。

  • 関強ディレクター

●関強(かん・きょう)
中国・北京生まれ。2008年、大学卒業後に来日し、東京造形大学大学院で諏訪敦彦監督の指導を受ける。13年、制作会社・オルタスジャパンに入社。14年から「中国の今」をテーマに、フジテレビ『NONFIX』の『ボクが見た中国シリーズ』を制作し、これまでに「性」「金」「夢」「愛」「食」をテーマとした5作を制作した。同シリーズの『風花雪月―ボクが見た祖国・性の解放』で第32回ATP賞テレビグランプリ優秀新人賞を受賞。この他にもTokyo Docs 2017アジアドラマティックTV賞を受賞した。『ザ・ノンフィクション』では、『ボクのおうちに来ませんか ~モバイルハウスで見る夢~』(20年12月6日放送)も制作している。