――安洛と絆は「親子かもしれない」という関係になりますが、福原さんと共演された感想を教えてください。

福原さんは本番での集中力が素晴らしい。話を重ねるごとに役に入り込んでいく力がどんどん強くなって、そのエネルギーに僕も助けてもらいました。福原さんとお芝居をすることによって、安洛の知らなかった部分を教えてもらって、再構築できた。台本を読んで想像していたものと違うトーンや間で来ると「じゃあ僕はこうしてみようかな」と考えさせられる。福原さん演じる絆によって自分の中の安洛が立体的になりました。

福原さんは何をするにも貪欲で、僕が京都のオススメのお菓子を教えると、すごいスピードでカートに入れていました。サイバーでした(笑)。

――間宮さん演じる多和田は、密命を受けて安洛を観察する役どころですが、間宮さんと共演された感想を教えてください。

間宮くんは役者IQがすごく高い。羨ましいです。台詞や台本の構成、自分の役の立ち位置がサッと入っていく。安洛は皆の3歩先をいっていて、多和田もそれに続く役どころですが、間宮くん自身も先を読んで進めていく役者だと思うんですよね。だから多和田はぴったりの役でした。彼のクレバーさが、演じ手と作品の世界を非常に強くつないでくれています。間宮くんの芝居を見れば、何を考えてそう演じたかが分かる。多く話さなくても、役に関して分かり合えました。

――最後に、番組の見どころをお願いします。

サイバーものということで、現場に行かず、小さなモニター越しにライフルを持った犯人を説得する場面もあって、これまで見たことのない刑事ドラマになっていると確信しています。取り扱う事件の題材も、縁遠いものではなく身近なものばかり。僕自身も「フェイク動画ってそんなに簡単に作れるの?」とか、「パソコンってそんなに簡単にハッキングされるの?」と知れましたし、「デジタルの世界には法規制が追いついていない部分があるから、自分でも気をつけて使わないといけないもの」と、演じながら考えさせられました。そして、サイバー犯罪を取り扱いながらも「人情もの」という魅力も満載。ぜひ楽しんでごらんください。

■佐々木蔵之介
1968年2月4日生まれ。京都府出身。神戸大学在学中から劇団「惑星ピスタチオ」で活動し、NHK連続テレビ小説『オードリー』(00年)で注目を浴びる。映画『空母いぶき』(20年)で第43回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。近年の出演作にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』、ドラマ『ミヤコが京都にやって来た!』、映画『記憶屋 あなたを忘れない』など。映画『峠 最後のサムライ』、『科捜研の女 -劇場版-』の公開を控えるほか、自身が立ち上げた演劇ユニット・Team申(チームさる)では、7月より全国8都市で舞台『君子無朋(くんしにともなし) ~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』を上演予定。