――特に印象に残っているシーンを教えてください。

5話で健太にドラゴン桜の木の下でタックルされたシーンは 藤井遼VS東大専科という、個人VS集団というものが画としてはっきり表れていて、自分も演じながら集団と戦っているんだなという意識がすごくありました。しかも、細田佳央太くんという、以前からオーディションで時々一緒になったり、作品も見ていて好きな俳優さんで、その人としっかりやりとりができる場面でもあったし、桜木先生とのやりとりもけっこうあったので、印象に残っています。

――東大専科に本格的に入る合宿あたりまで藤井は孤独な瞬間があったと思いますが、鈴鹿さん自身も寂しかったですか?

寂しかったですね(笑)。撮影の合間に、「東大専科いいな~」ってずっと言っていました。

――撮影の合間はみなさんと過ごされていますか?

はい。普通にしています。

――東大専科のみなさんとはどんな交流をされましたか?

「あっち向いてホイ」やジェスチャーゲームをしたり、世間話をしたり、「このシーンどうだった?」という話もしますし、いろいろ話しています。

――細田さんのほかに刺激を受けた方は?

加藤清史郎くん(清ちゃん)とは2人のシーンもありましたし、芸能界に対する思いも話しています。佳央太くんと清ちゃんと僕と3人で話していて、一人ひとりみんな違うものがあり、清ちゃんは子役のときからいろんなことを経験していて、その経験を踏まえて意見を言ってくれます。また、「ここをもっとこうしよう」と一個一個大切にしている人で、僕もどちらかといえばそういうタイプですが、清ちゃんよりは「次、次」となるタイプなので、みんな違って、それを認め合えているので、いい刺激になっています。

――阿部さんとの共演はいかがですか?

阿部さんとのシーンは、言葉が刺さりまくりです。まったくウソがない。すごくパワーを感じるし、エネルギーのやりとりが阿部さんの中で大きいのかなと思いましたし、すごい俳優さんに今このタイミングで出会えて幸せ者だなと日々感じながらやっていました。

――特に刺さった言葉とは?

第9話の「他人のためじゃなくて自分のために生きろ」という言葉です。周りがどうこうではなく自分がやりたいことをやれということですが、藤井遼という役が馴染んで自分の中にあるし、自分の中でも重なるところもあるので、ぐさぐさ刺さりました。

――阿部さんとこのタイミングで出会えてよかったとおっしゃいましたが、俳優としてどのような経験になっていますか?

日本を代表する俳優さんである阿部さんや長澤(まさみ)さんたちとご一緒できていい経験になっています。現場での姿、お芝居を生で見ることができ、一緒にやりとりもできていて、その時間はすごく貴重で大切なものだなと毎回感じながらやっています。また、映画をメインにやってきた方やミュージカルもやっている方など、いろんな人が集まっていて、その人たちがどういう思いで作品に臨んでいるのか、芸能界に対してどう思っているのか、いろいろお話ができ、いい時間だなと感じています。

――『ドラゴン桜』を経験したことによって、こういう俳優になりたいという新たな目標などはできましたか?

いろんな社会問題があり、社会が円滑に動くことを良しとする社会になっているなと思うし、一人ひとりの意思というより集団の中で孤独を感じないようにどう生きるか考えさせられているなと思いますが、集団に属していることの安心感に甘えずにいい意味で独立して自立した人でいたいなとは思いました。そして、情報やニュースの裏に何があるのか、そういうことを常に考えながら生きていきたいなと。考えるだけでも何か変わると思うので、考えることをやめずに生きていきたいと思います。

――最後に、改めて感じている『ドラゴン桜』の魅力をお聞かせください。

やはり桜木先生の言葉は核心をついている。だからこそ見ている人に届くものがあると思うし、僕もそれを楽しみにしています。そして、最終目標の東大合格に向かってみんなが頑張っている姿。そこに向かっていく一人ひとりの思いも違うし、それをちゃんとみんな個々に表現していて、現場でもみんな甘えることなく考えてやっているので、そういう熱が伝わっているのではないかなと思っています。

■鈴鹿央士
2000年1月11日生まれ、岡山県出身。16歳で映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』(16)にエキストラとして参加。その際、出演者の広瀬すずの目に留まったことをきっかけに、2018年4月より芸能事務所に所属。同年秋、「第33回MEN‘S NON-NO専属モデルオーディション」でグランプリを獲得し、専属モデルに。2019年から俳優として活動。『蜜蜂と遠雷』で映画初出演を果たし、「第43回日本アカデミー賞」をはじめ、映画賞の新人賞を5つ受賞した。その後、NHK連続テレビ小説『なつぞら』や『おっさんずラブ-in the sky-』(テレビ朝日)、『MIU404』(TBS)、ドラマ&映画『ホリミヤ』、映画『決算! 忠臣蔵』などに出演。主演映画『星空のむこうの国』が7月16日公開予定。

(C)TBS