これまでの作品数は約350を数え、イラストの製作時間は概ね1枚につき30分~1時間程度。草刈正雄主演のドラマ『おじさまと猫』では、なんと劇中に登場する猫の人形を毛糸で作ってしまい、「トータルで4~5時間要しています」(平田氏)という力作となった。
これには反響も大きく、テレ東の濱谷晃一プロデューサーが「かわいい」とメロメロの絵文字付きで反応。原作者の桜井海氏は、初回から毎週番宣ツイートにRTといいねを押し、「奈良テレビさんの宣伝画像がいつも本当に可愛いんですよ!(´∀`*)ありがとうございます!!」と感謝のコメントを寄せた。
イラスト以外の作品は他にも。中村倫也主演のドラマ『珈琲いかがでしょう』では、コーヒーにちなんでラテアートに挑戦したり、コーヒーを抽出した後のかすを使ってイラストを描いたりと、様々な工夫を凝らした。このコーヒーかすは、平田氏の家の近所のカフェに協力してもらったそうだ。
■ジャニーズタレントのイラストは反響大
ジャニーズ事務所のタレントが出演する番組は、特に反響が大きいそうで、Kis-My-Ft2・北山宏光主演のドラマ『ミリオンジョー』の最終回(21年1月6日)では、それまで投稿したイラストを切り貼りして1枚にすると、ファンから「毎週楽しみにしていました。ありがとうございました」など、感謝のコメントが続出。
『メンズ校』では、今年4月14日の放送開始1週間前から、主演のなにわ男子のメンバーがちょうど7人ということで、毎日イラストとともにメンバー紹介をしながら7日にわたってカウントダウンしていった。
バラエティでは、A.B.C-Zの冠番組『ABChanZOO』に毎回多くのコメントが寄せられるが、倉庫に閉じ込められた五関晃一を謎解しながら助けるという企画(21年5月17日)を表したイラストが、特に好反応だったそうだ。
■ネットでの意欲的な展開、ローカル局の生き残り戦略
このように、Twitterを積極的に活用している奈良テレビだが「放送だけではなく、ネットでのコンテンツ展開に意欲的に取り組んでいます」(中川雅幸ビジネス開発局長)。6月18日にはTikTokの公式アカウントを開設し、アナウンサーや局員が奈良での日常や番組の裏側を配信。あのTwitterの「手描きイラスト番宣」も、メイキングを公開する予定だという。
YouTubeチャンネルでは、番組終了後のニュース映像や、番組コーナーの見逃し配信に加え、オリジナル動画も制作して公開。さらに、奈良のグルメやお店の情報を独自に取材して記事配信するWEBメディア「ナラトワ」を展開し、ここでは「番組コーナーの記事化も行っていて、見逃した方など視聴者の皆さんに支持を得ています」(中川局長)と好評となっている。
サブスクの動画配信サービスやYouTubeの台頭だけでなく、TVerでは地方局も自社制作コンテンツを次々に配信し、今後はキー局を中心に放送の同時配信も始まるなど、ローカル局・独立局をめぐる環境が大きく変化していく中、こうした従来のテレビ局の動きにとらわれない取り組みが、生き残りの鍵となっていきそうだ。