――前作のときは20代でしたが、今は30代に。30代になって意識の変化はありますか?

30歳ってケタが変わるのでなんとなく身構えていて、いろんな人に「30歳どうですか?」って聞いていたんです。でも実際、30歳になったら、そんなに変わらないなと。年齢というより、人それぞれだと思ったので、年齢は非公開にしたいと思いました。もう遅いですけど(笑)

――気持ち的な変化は、あまりなかったのですね。

30代はいろいろなことに挑戦したいという思いはあります。ただ、コロナの影響で状況が変わってしまい、その分、密度が濃くなった気がしています。当たり前だったことが当たり前ではなくなり、変化に順応していくこと、そして、その時を楽しむというのが大事だなと思いました。

――密度が濃くなったと感じた具体的なエピソードがありましたら教えてください。

自粛期間中、家で長く過ごしていたので、仕事が再開して1つ目の現場はものすごく緊張しました。デビュー作かというくらい(笑)。そんなに空いたわけではなく2カ月くらいでしたが、とても緊張して。でも、撮影が始まったらすぐに落ち着けて、現場に安心しました。ディスタンスなどいろんなことがありますけど、今まで何も考えずにやっていた一つ一つを丁寧にやっていこうと感じました。もちろん、今までも手を抜いてやっていたわけではないですが、改めて大事に、という意識になりました。

――ちなみに、その自粛明け1つ目のお仕事とは?

日本テレビのドラマ『ダブルブッキング』(2020年6月28日放送)です。

――『ピーターラビット2』のアフレコはいつ頃でしたか? こちらもコロナと戦いながら、ですよね?

8月です。コロナと戦いながらでした。

――通常時とは違う現場だったと思いますが、印象に残っていることを教えてください。

換気タイムがありました。1人でアフレコしましたし、監督とのやりとりもブースからでしたが、人と話せることがうれしいなと感じたのを覚えています。

――コロナ禍は、外出すること自体、ドキドキしますよね。

緊張はありますよね。ただ、「働きつつ気をつけてください」という状況なので、働かないといけない。となると、自分の中でできる対策をしっかりして、大変ですけど前向きに楽しんでやっています。

――そういう状況の中で映画が公開を迎えますが、いつも以上に感慨深い思いもあるのでは?

完成した作品を見たときに、すごく元気になったんです。ピーターたちが表情豊かに走り回ってみんなで頑張っていて、それによってビアとマグレガーさんもお互いにいい作用がある。頑張ろうと思える、前に進むにはすごくいい作品だなと感じたので、こういうご時世だからこそ、たくさんの人に届けばいいなと思っています。

――コロナ禍を経験し、お仕事において一つ一つ丁寧にという意識が芽生えたとおっしゃっていましたが、生き方自体にも変化はありましたか?

メリハリを意識するようになりました。頑張るときは頑張って、疲れたらのんびりして、人としての生活をちゃんとすることって大事だなと。

――おうち時間が増えたことでそう感じたのでしょうか。

それまで不規則な生活が日常だったので、規則正しい生活をするとなんて清々しいんだろうと思ったんです。その当たり前のことが、自分のリズム的には合っていると気づけたので、規則正しい生活を続けていきたいなと。

――コロナが終息したら、また忙しくなって不規則になってしまうのでは。

疲れたら疲れたと、20代後半くらいから言えるようになってきたので、大丈夫かなと。これからも、一つ一つ丁寧に、密度を濃く、そして楽しむこと大事にやっていきたいと思います。

■千葉雄大
1989年3月9日生まれ、宮城県出身。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』のゴセイレッド・アラタ役で本格的に役者デビューを果たす。2016年映画『殿、利息でござる!』に出演し、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作は、映画『帝一の國』、『スマホを落としただけなのに』、『ピーターラビット』、NHK連続テレビ小説『わろてんか』、『家売るオンナ』シリーズ(日本テレビ)、『いいね!光源氏くん』シリーズ(NHK)、舞台『危険な関係』など。また、今年『ポーの一族』でミュージカル初挑戦を果たした。