――今回の配信中の新曲「Dear my friend」は、どういう曲でしょうか?

友達についてダイレクトに書いた曲で、もともと作ってあった自分としては大事な曲です。苦楽をともにした友達たちとのかけがえないの時間が長くあり、今だから書けたという思いが自分の中にあります。また、コロナ禍で頻繁に人に会えないけれど、何かあったら駆けつけるし、気持ちはいつも寄り添っている。そんな実体験から生まれているものですね。

――歌詞の中で思いが強い箇所や、こだわったところはどこでしょうか?

あえて言うなら、サビとサビの間の『10年後はネタにしちゃって~』のパートでしょうか。20~30年来の友達との時間の中で築けていたものがなければ書けなかっただろうなと思います。今までこうやって生きてきたし、今後もこうやって生きていくと思います。今後もそうして生きていくであろうことが1ミリの疑いもなく想像出来て、そういう未来を一緒に見ていきたい人が回りにいたから書けたというか、そんな感じがします。

――メロディーへのこだわりはいかがでしょうか?

入口はピアノでシンプルに入りたいなと思っていて、曲全体もシンプルだから、その中で世界観を感じるようしたかったです。友達の歌なので寄り添ってわいわいみたいな感じや、和やかな感覚になってもよいのですが、もっと深いところでつながっているというのが伝わればいいなと思ったので、入口はシンプルにしました。

――そういう表現は、歌手としての経歴を重ねてこそ生まれたものなのでしょうか。

それもありますが、今回は学んできたことや、やってみたいことを一回削ぎ落して、一番シンプルに戻りました。聴いた人が、声が寄り添って感じるように。

――今後、表現者として、どのような目標を掲げますか?

歌手活動を30代後半で始めましたが、年齢を重ねていくと、もうこれはできないとか躊躇したり、そういうことありますよね。でも、歌が作れる自分の人生に驚き、去年初の単独ライブをブルーノート東京で無観客でしたり、驚きがあります。これからも最初に曲を作った時の喜びや、情熱がなくならない限り、チャレンジは続けていきたいです。今度はブルーノート東京で、有観客でやりたいですね。

■小西真奈美
1978年10月27日生まれ。1998年、つかこうへい演出の舞台『寝盗られ宗介』でデビュー。映画『阿弥陀堂だより』でブルーリボン賞新人賞・日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、また『のんちゃんのり弁』で毎日映画コンクール女優主演賞・ヨコハマ映画祭主演女優賞など多数受賞。そのほか代表作に、映画『振り子』、ドラマ『小児救命』『Nのために』『半分、青い。』、舞台『赤鬼』(演出:野田秀樹)、『悼む人』(演出:堤幸彦)など。2016年5月23日にリリースしたKREVAのカバー曲となるシングル「トランキライザー」が、iTunesヒップホップチャートで1位を獲得。2018年10月24日、メジャー1stアルバム『Here We Go』をリリース。女優・アーティストとして幅広く活躍中。

Photo by ROBIN FURUYA