●自身のやりたいことも生かしつつ、こだわりも込めた「Beep Beep Beep」

  • 『Colon』限定盤

――では、その「Beep Beep Beep」から新曲についてもお聞きしていきます。洋メロのストックもあるというお話もSNS等でされていましたが、英語詞曲となったこの曲でそういうものを生かしたい、という気持ちもありましたか?

そうですね。私は元々洋楽ばかりを聴いて育ったので、「洋楽のメロディばっかり出てきて日本語がはめられない」という曲が多くて(笑)。この曲も、できたときから「英語にしたいなぁ」と思っていたんです。でも自分には作詞ができるほどの英語力はないので困ってもいたんですよ。

――実際、この曲の作詞はJosh Paulさんがされています。どういう経緯で依頼されたのでしょう?

一緒に曲を作っている中村ヒロさんが、今インスタで結構海外の音楽仲間と友達になっていて。その中にJosh Paulさんがいて、ベースと歌詞を頼んでくれたんです。私も入れた3人のグループメッセージの中で、私から英語で曲のテーマなどを頑張って伝えたら一発でイメージ通りのものが返ってきたので、もう「ありがとー!」みたいな感じでしたね。

しかもこの曲は、ドラムも中村ヒロさんの繋がりで、ニューヨークのブロードウェイで叩いてらっしゃる方に演奏していただいているんですよ。このご時世なので最近では向こうのミュージシャンたちが宅録環境を整えているので、ドラムもベースもめちゃくちゃかっこいい音が返ってきて……すごい満足、って感じです(笑)。

――そうなると、歌うときの気持ちのノリにもちょっと違いが? たぶん、めちゃくちゃノってたと思います(笑)。でも、英語の発音はネイティブが聴いてもおかしくないものにしたくて、友達の英語の先生を呼んでレコーディングに付き添ってもらって。発音の変なところは直してもらいながら録っていきました。

――発音の部分で引っかかっちゃう部分も、やっぱりあった?

ありましたよ、結構何箇所も。たとえば「Open your mind again」というフレーズの「Open」の母音のオは、こっちは”オ”と言っているつもりでも、微妙な口の開け方が全然違っていたみたいで。「アと中間のオに聞こえるから、もっと”オ”だ」みたいに指摘してもらったり……「厳しく言って」ってお願いしたのもあって、めちゃくちゃ勉強になりました。

●ライブでもレコーディングでも、“リラックスして歌う”ことを大事に

  • 『Colon』通常盤

――続く2曲目の「Me Time」からは、テイスト的には肩の力がいい具合に抜けたようにも感じました。

おっしゃるとおり、この曲は肩の力を抜いて楽しく気軽に聴ける曲にしようと思って、特にテーマも決めずにメロディから作ったんです。この「Me Time」というフレーズは今習っている英会話の先生が教えてくれたもので、「自分のためのリラックスタイム」という意味らしいんです。それが「なんかいいな」と思ったところから、歌詞を考えていきました。ただこの曲、いちばん疲れていたときに最初の歌詞を書きまして(笑)。

――テーマとは裏腹に。

はい。週に1曲新曲を作って歌詞を書いて、レコーディングしてミックスして……というのを続けていた、いちばん疲れたときだったんです。そうしたら、1回スタジオまで持っていって歌ってはみたけど、どうも頑張ってこねくり出したような感じがして納得がいかず。「もう1回考えさせてください」と言って翌週に引き伸ばして、ちょっと元気になって気軽に書いたものを採用していただきました(笑)。

――Bメロのあたりは、一段と歌声から力が抜けているような印象がありました。

歌うときには「リラックスして、ちょっと楽しく軽快に歌う」という気持ちでした。実は最近の曲では、全部リラックスして歌うことを心がけていて。昔はレコーディング前も緊張していたんですけど、頭で考えて「こういうふうにして頑張ろう」と思えば思うほど体も歌い方も固くなっちゃっていって結局うまくいかないんですよ。だから経験上、ライブでもレコーディングでも何も考えずにリラックスして歌うのがいちばんいいなぁ、と感じています。

――そして3曲目にも新曲、「BRITISH ROBOT」が収められています。

この曲は完全に遊びというか……仲間と遊びながら作った曲なんです。

――そうなんですか! 完成までは、どんな経緯があったのでしょうか。

まず共同作曲の中村ヒロさんに、大学時代にプログレでジャズっぽいバンドをやっていたときに影響を受けた、アヴィシャイ・コーエンというジャズのベーシストがすごく好きで……という話をして勧めたら、ハマって(笑)。「ジャズっぽくて変拍子の面白い曲を作ってみたいね」という話になって、最初にリフを作ってくれたんです。それに私がメロを乗っけたあとに、そのバンドを一緒にやっていた鵜飼(大幹)ちゃんに続きの展開を相談したら、ピアノを入れて返してくれたんですよ。

それで、私がふたりからもらったオケを編集してひとつの形にして、さらにもう1回投げて……みたいなことを完全にオンラインでやり取りしながらできた曲なんですよ。その途中にロボットというモチーフを思いついて、絵も描いてふたりとイメージを共有して。そこからまたやり取りして最終的に今の形になりました。

――まるでセッションのような……。

そうですね。私、以前から結構編曲の方とか、ギターやピアノの方とセッションっぽく作ることが多くて。メロディと歌詞はいくらでも書けるんですけど、やっぱりコード感とかは楽器をやってる人のほうが得意だからお願いすることが多いので、セッション的に作るのは好きなんです。

――聴いていくなかで、言葉遊びのような語感に非常に気持ちよさがありました。

ありがとうございます。まさに言葉遊びというか、そこまで考えすぎず「気持ちいいなぁ」という感じの音をはめていって、でも意味やストーリーもなんとなく一貫性をもたせて……という感じで作っていきました。