いよいよ残り2話と、終盤に差し掛かった菅田将暉主演のドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系、毎週土曜22:00~)。菅田のほか、有村架純、神木隆之介、仲野太賀という93年生まれの俳優が集結し、あいみょんが歌う主題歌や、『俺の話は長い』(19年)で向田邦子賞を受賞した金子茂樹氏の脚本など、今最も旬なクリエイターたちが集結。視聴者の“心に沁みる”作品に仕上がっている。
この作品で、全10話のうち4話を演出するのが、金井紘監督(storyboard)。『HERO』(第2期・14年)や『恋仲』(15年)などを手がけた元フジテレビのディレクターで、19年にフジを退社してからは様々なフィールドで映像制作に携わってきた人物だ。
今作を担当することになった経緯や、作品・役者陣の魅力、そして物語と同じく監督自身が撮影中に感じた“青春”を聞いた――。
■豪華キャスト×金子茂樹脚本×青春群像劇=「ぜひやりたい」
19年末にフジテレビから独立した金井監督だが、今回初めて日本テレビのドラマに参加するきっかけとなったのは、同じく金子茂樹氏脚本の『SUMMER NUDE』(13年、フジテレビ)だった。
「脚本の金子先生とは以前ご一緒させて頂いたことがあって、プロデューサーの福井(雄太)さんともかねてから面識がありました。そんな中で、19年にフジテレビから独立したタイミングでちょうどお2人からこういう企画があるんだと誘われて、それはもうチャンスがあれば、ぜひやりたいと思いました」
企画を聞いた印象は、「青春群像劇というここ数年あまり地上波のドラマではなかった題材でしたし、僕もチャレンジしたいジャンルでした。この2021年のタイミングで、これだけの豪華なキャスティングをされて、しかも金子先生の脚本で、日本テレビでやるっていう企画にすごく魅力を感じましたね」と明かす。
■「毎日が楽しみ」な撮影現場
今作の魅力は、劇中の登場人物たちが、“これはセリフなのだろうか?”と思えるほどリアルに、生き生きと自由に動き回る様だ。監督はどのような演出を施しているのだろうか。
「とにかく余計なことはしないことですね。チーフディレクターの猪股(隆一)監督も、そういう方向性で演出されていると思いますし、自分の演出の色ができるだけ付かないように意識しました。これだけの完成された脚本があって、そこに十分な実力のある役者さんに集まっていただいたわけですから、それを余すことなく、いかにお届けするかというのがテーマだったかなと思います。マクベスの自由な会話劇も、もちろん脚本に忠実な部分であったり、アドリブもあったりしますが、それぞれの良いところがすごく出ていると思いますね」
今、最も旬で実力派の俳優たちがそろったと言っていい今作だが、監督は驚かされてばかりだったという。
「同世代の彼らが一堂に会するというのは本当に奇跡みたいなことだと思っていて。みなさん実力もキャリアもあるっていうのは分かってはいたんですけど、組み合わさったときに“足し算”ではなくて“掛け算”になるというか、それぞれのお芝居を引き出して、パワーアップさせていく様子に驚かされました」
そんな撮影現場では笑いが絶えないそうで、「現場が一番の楽しみですね。今日はどんな演技をしてくれるんだろうとか、あの脚本をどう演じてくれるんだろうとか、毎日が楽しみでした。マクベスのやりとりは演出しながらもゲラゲラ腹抱えて笑っていましたね。だから、そういう現場の雰囲気が青春群像劇としてきっとドラマにも反映されているんじゃないかと思っています」と胸を張った。