――今春からはテレビ朝日系『報道ステーション』で、毎週水曜日にスポーツキャスターを務めています。他競技のアスリートを取材して新たに得たものは。
他競技の考え方であるとか、時には練習も取材させてもらえるので、すごくありがたいと思っています。他競技の組織の成り立ちなども含めて、仕事として見させてもらえるのはめちゃくちゃ勉強になります。生放送という緊張感の中で、引退した立場として自分だけの意見を言うだけでなく、相手の意見や思いも引き出す仕事を経験していることで、自分の中で考え方の幅が広がっている、すごくいいと感じています。
――競泳の池江璃花子選手とのやり取りは、見ていてすごく新鮮でした。
池江さんのような一流のアスリートとは、そういう機会がないとお話しすることもないですからね。スキル的な要素はもちろん競技によって違いますけど、やはり一流と呼ばれるアスリートは自分の意志を持っている、しっかりしていると感じました。精神的な部分で一本の芯が通っていて、ちょっとずば抜けていないとダメなのだと。
――聞かれる側から聞く側になって、新たに発見したものはありますか。
僕自身、あまりしゃべらないようにしていた時期もあったので、聞く側になるとこんなにも大変なんだなと思っています。たくさんしゃべってくれる選手はいいですけど、こんな言葉を返してほしいんだな、と相手に伝わるような質問をするとちょっと難しくなりますよね。僕がそうだったように、あえて何もしゃべらない時もあるので。なので、取材相手をしっかりとリスペクトした上で、何かを引き出せたらなと思っています。
――内田さんはしっかりとコメントしてくれるので、例えば日本代表戦の取材時などは、僕たちメディアにとって非常に大きな存在でしたけど。
若い時はけっこう無愛想な感じで、多くは話さなかったですけどね(苦笑)。何を書いてもらっても、周りで自分の思っているような反応がなかったりとか、伝えるのが難しいという理由で。ただ、話すことも仕事だなと考えるようになってからは、大事だと思うようになりました。こうして質問してもらって記事になると自分の気持ちの整理にもなるし、その後も残しておいてくれるので、これはいいように活用したいなと。
――幻冬舎が発行する月刊誌『ゲーテ』では、内田さんがアントラーズへ加入した2006年に入れ替わるように引退した、レジェンドの中田英寿さんとも対談していますよね。
今でこそ「ヒデさん」と言っていますけど、中田さんに会ったのはその対談が初めてでした。小学校や中学校の時に中田さんの本を買って読んだ記憶もあるし、ものすごく緊張しましたけど、実際に話してみると本当に優しいお兄さんというか。ただ、一流の方に共通するように、自分の考えをしっかりと持っている方で、やはりすごいなと思いました。
――バラエティ番組などにも出演されています。
バラエティ番組などへの出演はご褒美だと思って、楽しく参加させてもらっています。いろいろなジャンルのプロの方々とお会いできるので新鮮で楽しいですね。すごく勉強させてもらってます。