昨年8月に現役を引退したサッカー元日本代表の内田篤人氏。引退後は、日本サッカー協会が新設したロールモデルコーチに就任し、U-19日本代表のコーチを担当、指導者の道を歩み始めた。また、昨年10月にスポーツチャンネル「DAZN」でスタートした初の冠番組『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』では、世界で活躍する日本人選手のプレーを独自の視点で解説。今春よりテレビ朝日系『報道ステーション』でスポーツキャスターも務めるなど、活躍の幅を広げている。

  • 内田篤人 撮影:蔦野裕

セカンドキャリアが注目されている中、内田氏自身はどのような将来を思い描いているのか、本人にインタビュー。指導者への思いを聞くとともに、スポーツキャスター挑戦や冠番組で得たもの、さらに、「一番楽しい」という子供との時間について語ってもらった。

――昨年8月の現役引退会見で指導者として鹿島アントラーズに復帰する可能性を問われた時に、興味があるした上で「やりたいと言ってできる仕事でもない。チームから『どうですか』と話があって、初めて動けるものなので」と語っていました。日本サッカー協会が発行する指導者ライセンスはどのレベルまで取得されているのでしょうか。

まだC級しか取得していません。この先も取りにいきたいと思っていますけど、タイミングや取得可能時期などいろいろあるので。ただ、ロールモデルコーチとしてU-20やU-18の年代別代表の選手たちを見させてもらう中で、練習のメニューを組んだりする仕事は非常に面白いので、ライセンスを取得していくこと自体も面白いだろうなと感じています。

――C級からB級、A級ジェネラルをへて最上位のS級ライセンスを取得し、いずれは監督として采配を振るう内田さんの姿を見られるのでしょうか。ただ、今シーズン途中にコーチからアントラーズの監督に就任した相馬直樹さんも、就任会見で「いつかは終わりが来るもの」と監督だけが胸中に秘める覚悟を語っていました。

本当にそうだと思います。監督というのは結果に対して責任を負わなきゃいけないし、いつかはそのチームから去らなければいけないポジションなので。契約書にサインをした時点で、そのチームとはもうお別れへのカウントダウンに入っている感じですよね。甘くはないと思っていますが、それでも魅力のある仕事だなとは思っています。

――セカンドキャリアの選択肢に指導者が入っている意味でも、日本サッカー協会内で新設された、指導者ライセンスを持たなくても指導できるロールモデルコーチ第1号に任命され、先ほども言及したように年代別代表を指導した経験は大きいのでしょうか。

もちろんですね。やはり現場を見られるのはすごく楽しいし、楽しいけど仕事量や責任という意味ですごくきつい。なので、「何となく行く場所じゃない」という心構えは必要だと痛感しました。この先、自分がどのような道を歩むのか、指導者になるのか、サッカーにどう携わるかは現時点でわからないですけど、指導の現場を見られた経験によって、指導者の道に向かう場合には覚悟と準備が必要だと改めて思いました。