ビジネスシーンでの使用例
では実際に、ビジネスシーンではどのように使えるのでしょうか。例を紹介します。
例1「原価100円以下での生産は発注先選びのための必要条件であり、十分条件ではない」
例えば価格400円の新商品を発売するにあたり、生産を委託する工場を決めることを最終的なゴールとしましょう。
このとき、一定の利益率を確保するために「原価を100円以下に抑える」というルールを設けたとしたら、「1個あたりの商品を100円以下で生産してくれる工場」が発注先を選定するための必要条件となります。
ただ、実際に100円以下で生産してくれる工場を見つけ、早速依頼したところ、納期が大幅に遅れたり、納品された品物に目立った欠損がいくつもあったりしたらどうでしょうか。「継続して発注したい」という気持ちにはなりにくいと考えられます。
すなわち、「原価100円以下での生産」は委託先工場を選ぶための必要条件ではあっても、その条件を満たしているだけでは委託先を決定するには十分ではない、ということです。
例2「意思決定のために、必要条件を明確にする」
大きな目標を達成するには、何をすべきかを明確にすることが大切です。目標達成の必要条件を整理すれば、今時点の達成度や課題がおのずと浮かび上がってきます。
必要条件と十分条件の英語表現
ここからは、英語での表現と類義語について紹介します。
必要条件の英語表現
必要条件を英語で表すと「necessary condition」となります。「~のための必要条件」と表現したい時は、「necessary condition for」 と、forを入れて使います。
英語表現の例
Patience is a necessary condition for social life.
社会生活をする上で忍耐は必要条件だ。
A necessary condition for this job is an experience of working.
この仕事の必要条件は実務経験だ。
十分条件の英語表現
十分条件を英語で表すと「sufficient condition」となります。
英語表現の例
That plan is a sufficient condition to achieve our project.
その計画は我々のプロジェクトを達成するための十分条件だ。
350 points is not a sufficient condition to pass the desired school.
350点は、希望校に合格するための十分条件ではない。
論理的に説明するのにも必要条件・十分条件は活用できる
学生時代にならった論理が、こうして今も役立つなんて少し驚きですよね。必要条件と十分条件のイメージは、大きくて広い範囲(必要条件)から限定的で狭い範囲(十分条件)とすると覚えやすいでしょう。
ビジネスシーンに当てはめて理解するには少し頭を整理しなければなりませんが、この過程こそ論理的な思考の第一歩です。目の前の課題を冷静に分析できれば、ビジネススキルもアップするかもしれません。