――ヨーロッパで活躍する日本人選手を含めて、これまでもリモートで出演した現役選手とフランクなトークを重ねてきました。その中で気をつけていることはありますか?
仲がいい選手はいますけど、やはりリスペクトを忘れてはいけないと思っています。海外で生活するだけでも大変なのは自分も分かっていますし、自分の居場所というのをみんな必死に作って、競争の中で勝ち残って試合に出ている。日本代表に選ばれて日本へ帰ってきて、代表戦に出場してまた移動して、というのもめちゃくちゃ大変だし、そういう部分を子供たちにもわかってほしい。仲がよくて、どうしてもふざけちゃいそうな部分もありますけど、僕自身は選手を終えた人間なので、その部分でリスペクトは必要です。仲がいい部分を出しながらも、頑張っている部分を伝えていきたいですね。
――今後呼んでみたい、と考えている選手はいますか?
ヨーロッパのシーズンが終わって、オフの期間中に日本へ帰ってくる選手がけっこういると思うので。その後にフル代表に選ばれるのか、あるいはオリンピック代表に選ばれるのかは分からないけど、タイミングが合えばみんなに来てほしいと思っています。
――ヨーロッパ組の中でも、特にこの選手を、というのは?
(吉田)麻也かな。麻也が来ずして僕の番組は始められないと思っていたので。と言いながらも、かなりの回数が過ぎてしまいましたけど。学年がひとつ下の麻也とは高校時代から年代別の日本代表で一緒にプレーしてきた仲だし、彼がVVVフェンローでプレーした時にはオランダへ、サウサンプトンでプレーした時にはイギリスにも会いに行きましたからね。今や日本代表のキャプテンだし、さすがという感じですね。
――地位が人を作る、という言葉がありますけど、森保ジャパンでキャプテンに就任してからの吉田選手は貫禄というか、ピッチ内外の立ち居振る舞いに重みが出てきました。
イタリアでセンターバックとして試合に出ていれば、やはりみんなからの信頼は厚くなりますよね。日本代表として出た試合数も100を超えているし、もともと性格的にまめで、真面目なタイプなので、イタリアを含めて、いろいろな国へ行っても適応できるんですよね。ピッチを離れれば後輩の面倒見もすごくいいし、監督やスタッフとの距離感も上手く保てるタイプだと思います。麻也をはじめとして、ヨーロッパで活躍している日本人選手たちの大変さや辛さを上手く引き出してあげたいですね。
――昨年8月の現役引退会見では、世界と比べた日本サッカーの現在地を「違う競技だと思えるぐらい、僕の中では違いがあります」と明言しましたが、どこに違いを一番感じていますか?
スピード感であるとか、プレーの強度という部分では全然違うと今でも思っています。歴史が違う中で追いついて、追い越すにはかなりの時間が必要かなと思いますけど、JリーグにはJリーグのよさがあると思っています。技術的にしっかりしているし、チームとしてやろうとしていることもあるので。あとは安全面ですね。スタジアムへはおじいちゃんやおばあちゃん、そして子どもたちが安心して観に来られるし、対照的にヨーロッパでは国によっては発煙筒がたかれたり、時には暴動も起きて危険な場合もあるので。そこは日本の良さだと思います
1988年3月27日生まれ、静岡県出身。2006年、清水東高校から鹿島アントラーズへ加入。2007年~2009年のJリーグ3連覇に大きく貢献。2010年にブンデスリーガ(ドイツ)の強豪シャルケ04へ移籍し、1年目からドイツカップ優勝を制覇。2010年と2014年には日本代表としてワールドカップメンバーに選出される。2018年1月2日、鹿島アントラーズへの移籍が発表され、7年ぶりにJリーグへ復帰した後、2020年8月に現役を引退した。翌9月に日本サッカー協会が新設したロールモデルコーチに就任。また、10月よりスポーツチャンネル「DAZN」で初冠番組『Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME』がスタート。2021年3月31日よりテレビ朝日『報道ステーション』でスポーツキャスターも務めている。