全国の系列局が企画を出し、その中で勝ち抜いた結果、日本テレビ系28局ネットで放送される今回の特番『和牛×かまいたちのいいダシとってんね~』は、テレビ業界で“上りネット”と呼ばれる形式。南海放送としては、こちらも和牛が出演した『激走!おつかいママチャリーズ』(18年7月放送)以来、3年ぶりに上りネット番組が実現した。
日テレ系列では、ドキュメンタリー番組の『NNNドキュメント』(毎週日曜24:55~)も系列局が全国ネット番組を放送できるチャンスのある枠で、制作者たちからは「甲子園」とも呼ばれている。この『Nドキュ』が毎週放送されるのに対し、上りネットのバラエティは年間数本程度という“甲子園”以上の難関だけに、「南海放送の知名度やブランドイメージを高めることができますし、放送枠のセールスも全部担うので、企画力・制作力・営業力をアピールできる場所ですね」と、その意義を語る。
■料理上手・水田&濱家のファインプレー
ローカル局がその地域の特色を生かす番組を制作すると、やはりロケバラエティが定番で、ご当地グルメを取り上げる傾向にある。その中でも今回の特番は、「食材を獲得して、自分たちで調理する」というコンセプトで差別化。「水田さんは元料理人ですし、濱家さんも趣味が料理で非常に手際が良くてお上手なんですよ」と、ここでもキャスティングが生きている。
フードコーディネーターはおらず、事前の想定食材をもとに料理のラインナップは全て水田が考案。レギュラー番組での関係値から、全幅の信頼を寄せることができた。一方の濱家も、調理を行う現場にカルパッチョに使うためのドレッシングを作るのに必要な酢がないことが判明すると、機転を利かせて愛媛の柑橘で代用し、「お酢がなかったことが、かえっていい感じになってます」と言ってスタッフを安心させる場面があったそうだ。
改めて、今回の特番について、徳丸Pは「今、見ない日がないくらいの4人をキャスティングして、コンビをシャッフルすることで、ロケやトークで本当に“いいダシ”が出ています。食材も見どころですが、最後の同期トークも普段なかなか聞けない話が出てると思うので、ぜひそこも見てほしいと思いますね」とアピールしている。
●徳丸博智
1982年生まれ、愛媛県出身。法政大学卒業後、05年南海放送に入社。報道、本社営業、東京支社営業を経て、17年からテレビ編成部で番組編成や制作を担当。現在は『和牛のA4ランクを召し上がれ!』『たけやま3.5のハンパNIGHT!』のプロデューサーを務める。