具体的なアドバイス
それでは具体的なアドバイスをみていきましょう。
預かり保育は費用対効果を考えて
Aさんは今の形で翻訳のお仕事をされるようになってまだ間もない段階でしょうか。翻訳に限らず、フリーランスでの仕事は食べていけるくらい稼げるようになるまでに数年かかる場合もあると言われますが、これから仕事を増やそうとされていらっしゃることに、とても好感を覚えました。
家計状況を拝見して、Aさんご自身も気にしておられるように保育料が目立ちます。とくに上のお子様の預かり保育が気になります。
1つの案件にどれだけ時間を要するのかわかりませんが、おそらく、翻訳の仕事は集中することも必要なのだろうと思います。小さな子どもが2人いると、どうしても気が散って集中できず、多くの仕事を請け負えないため、子どもを預ける選択をされたのだろうと思います。
ところで子どもを預ければすぐに仕事は増えそうでしょうか。厳しい言い方のようで申し訳ありません。しかし、2~3万円の収入に対して保育料が4万円かかるというのは、マイナスの状況で、費用対効果を考えるとあまり好ましくありません。
もしも、近いうちに請け負いの仕事が増える見込みがあるのであれば、このまま利用してもいいでしょう。そうでなければ、預かり保育の時間を減らしたり、思いきって預かり保育を止めたりすることも考えてみましょう。
コロナ禍で子どもが家にいるなかでのテレワークを余儀なくされている人も多くいます。会社員の場合、就業時間が決まっていますから、日中子どもがいてもなんとか頑張っている人もいます。
その点、フリーランスは自分で時間をやりくりできるメリットがあります。請け負った仕事に納期限があって大変かもしれませんが、まずは早朝、子どもの昼寝中、子どもの就寝後など、仕事時間の調整をつけて頑張ってみていただけたらなと思います。そして、徐々にでも仕事量が増えてきたときに、あらためて預かり保育を利用してはいかがでしょうか。
ところで、幼児教育無償化の一環で「保育が必要な理由」に該当すれば、預かり保育も一部補助が受けられます。3~5歳児の場合には、月1万1,300円を上限に、「利用日数×450円」が支給されます。こちらの申請はされているでしょうか。自営業、フリーランスでも、基本的に週3日以上かつ一日4時間以上(月48時間以上)の労働をしていれば「保育が必要な理由」に当てはまります。もしもまだ認定申請されていないようでしたら、自治体に問い合わせしてみてください。
収入アップを目指して請け負い以外の仕事を探す
預かり保育を減らすか止める選択についてアドバイスしましたが、このまま預かり保育を利用する場合には、請け負い以外の仕事も探してみることを検討されてはいかがでしょうか。
翻訳の仕事は大きく分けて、企業に所属して働く「社内翻訳者」と、企業に属さない「フリーランス」の2種類があると聞きます。このうち社内翻訳者には正社員や派遣、契約社員などの雇用形態があるようです。おそらくAさんは、フリーランスとしていくつかの翻訳エージェントに登録されているのではないかと想像しますが、請け負いの仕事は続けながらも、派遣や契約社員として働くことはできないでしょうか。思い通りに請け負いの仕事が増えるのがベストですが、派遣や契約社員として働くのも収入を増やす近道となると思います。
居住されている地域によっては、翻訳の派遣や契約社員の求人はないかもしれません。その場合には、翻訳という仕事にとらわれず、仕事の幅を広げてみるのもいいでしょう。ほかにも、クラウドソーシングでさまざまな仕事を探す方法もあります。翻訳エージェントに比べると報酬は低い可能性もありますが、翻訳はもちろん外国語の書き起こしなどの仕事依頼もあるようです。お子様たちが保育施設にいる時間を有効活用し、さまざまな仕事で収入アップを試みてください。
先取り貯蓄をする
児童手当のほかに貯金が普通預金50万円だけというのが気になりました。何かあったときの不安がありますから、しっかり貯金していきましょう。
まず、児童手当はお子様たちの教育費として継続してそのまま貯めていきましょう。預け先がわかりませんが、おすすめはネット銀行などの少しでも金利の良いところへの預け替えです。現在の大手都市銀行の定期預金金利相場は0.002%ですが、ネット銀行のなかには普通預金や定期預金で0.1%~0.2%というのもあります。50~100倍に相当しますから利用価値は高いと思います。学資保険もそのまま継続していくといいでしょう。
目下の目標として、緊急予備資金を貯めていただきたいです。ご主人は会社員で安定した収入がありますが、万一、病気や失業などで収入が低減するようなことがあると家計が破たんする可能性があります。万一収入が途絶えても貯金で対応できるよう、生活費の6カ月分は緊急予備資金として確保しておくのが一般的な考え方です。Aさん世帯の場合、月々の支出が約36万円ですから、緊急予備資金は216万円必要ということになります。
先に、保育料を下げるか、Aさんの収入を増やすかと述べましたが、理想としては最低でも月に2~3万円は今より余裕が出ることです。現在の収支で月に2万円程度プラスになっていますから、月4~5万円は貯金できることになります。
保育料が高くて貯金ができないというお悩みですが、他にも無駄な支出がないか確認してみてください。ボーナスを普段の支出で足りなくなったときの補填に充てられているというのは、お伝えいただいた支出額を超えるときもあるということかもしれません。
そこでおすすめなのが貯金分を先に取り除く「先取り貯蓄」です。ご主人の会社に財形制度や社内預金制度があれば給与天引きを申し込むのがおすすめです。これらの制度がなければ、銀行の積立定期や貯蓄用の口座への自動振替を申し込むこともできます。残った手取り分でやりくりするせざるを得なくなりますから、必然的に支出も見直し、節約を心がけるようになるはずです。ただし、あくまでボーナスを当てにしないようにしてくださいね。
今回の相談内容と皆さんの家計簿に似ている部分があるようでしたら、ぜひともFPの方のアドバイスを参考にしてみてくださいね。