――家茂は、若くして将軍の座につき、公武合体のため皇女・和宮と結婚。やがて将軍後見職に付いた慶喜に支えられるが、自身の無力さを嘆いて発奮するという役どころですが、演じるにあたってどのようなことを意識していますか?

家茂の登場は13歳からで、子供の状態で将軍になり、21歳で亡くなります。わからないながらも一生懸命、幕末の時代を背負い、いろんな意見に流されてしまいますが、和宮様を一筋に愛し、とても心が豊かで気遣いができる将軍だと思ったので、威張っている怖い将軍というより、どんな身分の人に対しても寄り添える将軍になれればいいなと意識しました。

――実在した人を演じるにあたって気を付けたことは?

実在した人を演じるのはすごく責任を感じます。どんな人物だったかわからない部分もあるので最終的には自分が作っていくしかないのですが、家茂がどんな人で、どういうことをしてきたのか、書籍などで調べました。

――演じていく中で、家茂はこんな人だったのかなと感じることはできましたか?

『青天を衝け』での家茂はかわいそうだなと思いました。いろんな人の意見を取り入れないといけないですし、ちぐはぐなことを言われたり、苦しかっただろうなと感じました。そういったこともあって甘党になったのではないかと思ったりもしました。

――磯村さんは、ヤンキー役などでは鬼のような表情も見せられますが、家茂は穏やかな表情が印象的です。演じるにあたって表情は意識されていますか?

何も心がけていないです。気持ちだけですね。

――自然と穏やかな表情に?

そうですね。家茂のことを考えて、そのシーンで家茂がどう立ち振る舞ったらいいのか、それだけだと思うので、特にこういう表情にしようとは考えていません。気持ちが穏やかだからこそ、自然とそういう表情になっているのかなと。役に忠実に生きるだけだと思います。

――13歳から演じられましたが、難しさは感じましたか?

「13歳を本当に僕がやるんですか?」と確認してしまいましたが、無理に13歳にならなくていいということだったので、あどけなさがちょっと見えたらいいのかなという程度の気持ちで演じました。あとはメイクで若く見えたらいいなと。