NiziUを生み出した「Nizi Project」を意識することもあるのだろうか。そんなことも聞くと、SKY-HIはこう答えた。

「実績と歴史のあるJYPみたいな会社や韓国芸能と比較していただける立場だとはそもそも思っていませんが、目線の位置は明確に違うかなと思います。参加者と自分の関係値が絶対的なものになればなるほど、結局、新しい枠ができてしまう。時に畏怖(いふ)から萎縮につながっていってもしまうこともある。そんなことを僕は求めていません。(参加者と)同じ立場に立つというと陳腐に聞こえるかもしれませんが、一緒に頑張っていく同志であることを自分が誰よりも強く思っています。彼らにもそう思ってもらうことを一番大事にしています。それが結果として、他のオーディション番組との違いになるのかもしれません。まずは参加者のクオリティが高いことが何よりの売りですし、今後放送されていく審査内容や課題も、既存の日本のオーディションだとあまり見ないものにはなっていると思います」

差別化の本質を突く言葉だった。Huluで配信されている番組に関しては自ら編集チェックし、納品までの詰めの作業をこなしているというのだから、説得力が増す。

■「怖くても進め」目指すは『ROOKIES』

番組を見ていると、「怖くても進め」のフレーズが耳に残る。『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』のためにSKY-HIが書き下ろしたテーマソング「To The First」の一節だ。1次審査が始まった段階で曲作りにも着手し、2次審査の途中で歌詞を含めて仕上げ、レコーディングに進んだという。互いの熱意が宿っている曲であることが分かる。

「人生の勝負時であることは、彼らだけでなく、自分も。失敗すると、首が回らなくなってしまいますからね(笑)。そういう時に怖がらないで進めって言われてもいますが、どうなんだろうって思うんです。怖がらずに進むとただの無謀だから。勝算があるからこそやるわけで。ただ、何かしらの決断をするときは恐怖心や不安があることも確か。恐怖と向かい合って、怖いことを自覚した上で向かうということは、責任を感じていることにもなる、だから、責任を放棄しないで進むことを大事にしたくて、“怖くても進め”としたんです。このワードの方が信頼してもらえると思ったんですよね。この状況でなんら不安や恐怖がなく進むってウソだと思うし。今後、彼らと付き合う上で、完全無欠の姿をみせようと思ってもいません。ウソをつかないことを大事にしたいと思っています。彼らに対しても、自分の人生にも音楽にも本質的な意味でウソをつかないことを大事にしているし、そうであると、彼らもまっすぐ向き合ってくれるようになる。これって1話でも言ったんだけど、漫画『ROOKIES』のような関係性ですよね(笑)」

その様子は『スッキリ』での特集やHuluの最新話で確かめることができる。「勝てる物が作れると現段階ですでに確信しています」と、SKY-HIは最後に力強く言い切った。その言葉にも、偽りはないように思えた。

『スッキリ』では、5月3日に続き、あす4日にも『THE FIRST -BMSG Audition 2021-』の特集が放送される。

<メイク> Megumi Shiizu
<スタイリスト> Yuji Yasumoto