ほとんどの大人の男性が稲垣吾郎の顔をしている。NHKの“よるドラ”枠で放送されている連続ドラマ『きれいのくに』(総合 毎週月曜22:45~23:15)では、そんな不思議な“同じ顔”の世界が描かれる。本作で何役も演じた稲垣にインタビューし、出演の感想や役作りについて話を聞いた。
気鋭のクリエイターが作り出す攻めたドラマに挑戦しているNHKの“よるドラ”が、4月から月曜夜に移動。その第1弾で、劇作家・加藤拓也氏とNHKが初めてタッグを組み、「好きな人の、好きな顔になりたい」という容姿へのコンプレックスにまつわる“青春ダークファンタジー”を届ける。自分の容姿に悩みを抱えた高校生たちが暮らすのは、ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国。歩く大人はみんな同じ男(稲垣)と女(加藤ローサ)の顔をしている。
稲垣は「以前から“よるドラ”の枠はすごく注目していました。新しいことにチャレンジしているドラマの枠で、この時間帯だからできることがあり、そこでのお話をいただけたのはすごくうれしかったですし、光栄なことですね」と、“よるドラ”出演を喜ぶ。
加藤氏の作品に出演するのは今回が初めてだが、昨年、加藤氏が脚本・演出を手掛けた舞台『誰にも知られず死ぬ朝』を観劇。稲垣の主演舞台『No.9 不滅の旋律』で共演した村川絵梨が出演するということで見に行ったその舞台で、「すごく衝撃を受けた」という。
「セリフが独特で、どこまでがアドリブなのかわからない。テーマだけ与えてアドリブでお芝居しているかのようなにナチュラルで、リアルな感じがしました。内容はもちろん面白かったですが、これはどこまでセリフなのか、ハテナが多いお芝居でした」と舞台の感想を述べ、その加藤氏の作品に出演することは「すごくうれしかったですし、ご縁も感じました」と語る。
ちなみに、舞台を観劇した日は加藤氏とは会わず。今回の現場で観ていたことを伝えると、加藤氏はとてもびっくりしていたそうだ。
『きれいのくに』も加藤氏ならではの独特さがあり、稲垣は「最初に概要を見た限りではイメージがつきにくかった。脚本もすぐには理解ができず、どう楽しんだらいいのか難しかった」と告白。だが、撮影していく中でつかめたそうで、「実際にしゃべるとスッと腑に落ちる。加藤さん節は、役として演じてしゃべっていると、役柄やその世界に引き込まれていく。撮影中はとても不思議な感覚でした」と明かす。
そして、「連続ドラマとしては普通じゃない。そこが面白いのかなと思います。スタッフの方も『かなり挑戦的な作品で、我々も全く想像がつかない。これはすごいことが起きるんじゃないか』とみなさんおっしゃっていたので、面白いことになるんじゃないかなと思っています」と期待を口にする。
本作では、同じ高校に通う幼なじみ5人を、青木柚、見上愛、岡本夏美、山脇辰哉、秋元龍太朗が演じる。稲垣は彼らの演技にも刺激を受けたそうで、「若い俳優さんたちもみなさんお上手で、このドラマの世界観に合わせたお芝居をされていて、すごいなと感じました」と称賛。「最近は若い俳優さんとご一緒することが多く、刺激を受けますし、すごくパワーをもらいます。今回のドラマはまさにそれを感じることができました」と語る。