回転寿司チェーン「くら寿司」は、4月22日にグローバル旗艦店「くら寿司 道頓堀店」を開業。4月21日に都内で記者発表会が開催され、新メニューの試食会が実施された。

  • 4月22日「くら寿司 道とん堀店」オープン

西日本・関西を代表する観光名所、繁華街である大阪・道頓堀にオープンする同店舗は、昨年1月に開業したグローバル旗艦店「くら寿司 浅草ROX店」に続く第2号店で、西日本初登場となる。

■「スマートくら寿司」で売り上げを維持

観光と食事を同時に体験できる「サイトイーティング(SightEating)」をコンセプトとするくら寿司のグローバル旗艦店。「ジャパンカルチャー発進型」店舗として、その1号店は訪日外国人の最大化が予測されていた2020年1月、浅草でオープンした。

コロナ禍でインバウンド需要は縮小したものの、「浅草ROX店」は多くの客で賑わい見せており、2店舗目のグローバル旗艦店となる「道頓堀店」は、具体的なインバウンド復活の見込みがないなかでの開業となる。

  • 和風モダンな雰囲気を感じられる内観

くら寿司の田中信副社長はコロナ禍における経営環境について、次のように説明した。

「昨年4月を底に5月以降は急回復に転じ、9月には7ヶ月ぶりに既存店売上高がプラスとなり、10月、11月と非常に高い伸びを達成しました。2020年10月期の国内売り上げはわずかながら過去最高を更新。その後、第3波の影響で12月から2月までは前年を下回りましたが、3月は曜日調整後でコロナ前の水準まで回復しています」

2011年に全店へ設置済みの抗菌カバー「鮮度くん」はじめ、以前より最先端技術の導入を推進し、客と従業員の安心・安全や利便性の向上を図ってきたくら寿司。顕著な売り上げを維持する最も大きな要因が、昨年11月に完成させた「スマートくら寿司」の取り組みだ。

  • くら寿司 取締役副社長 田中信 氏

「『スマートくら寿司』では入店から退店まで店員と一度も接することなく、お食事を楽しめます。店内の機器にも触れる必要がなく、お客様と従業員に安心・安全な環境を提供するだけでなく、店舗の効率運営も実現しています。すでに全国約200店舗へ導入済みで、今年中に国内の全店舗に「スマートくら寿司」を導入する予定です」

くら寿司は出店の多くが郊外のロードサイドだったが、これまで培ってきた強い財務基盤を背景に昨年から都心の一等地への出店を強化。

今回の「道頓堀店」はコロナ収束後のインバウンド需要も見据え、日本古来のファストフードである寿司の"おいしさ"と進化する回転寿司の"楽しさ"を、日本のみならず海外に発信していくという。

「くら寿司は2009年にアメリカへ、2014年に台湾へ進出し、現在それぞれ31店舗と34店舗を展開しています。コロナ禍でレストランの約20%が潰れていると言われ、日本食レストランも多く閉鎖したアメリカでも新規出店を積極的に行い、2020年9月以降、ニュージャージー州やフロリダ州など初進出の地域でお店をオープン。

今後は全米の主要都市への出店と100店舗体制を早期に構築したいと考えています。新型コロナの感染拡大をほぼ完璧に抑え込む台湾では、昨年2月から4月に売り上げが一時落ちましたが、その後は急回復し、順調に事業を拡大。昨年度だけで11店舗を新たに出店し、早々に50店舗体制を構築したいと考えています」

■スタイリッシュな内装は佐藤可士和氏が監修

「道頓堀店」の内装は「浅草ROX店」に引き続き、世界的に活躍するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が監修。

「浪速の祭り」をコンセプトにジャパニーズモダンなデザインを採用し、カラフルな提灯ウォールや巨大浮世絵などのフォトスポット、"暖簾"によって半個室化したボックスシートを店内に配置した。

裸電球を思い起こさせる暖色のLED照明を各テーブルの上に取り付け、屋台の雰囲気を醸し出している点も特徴で、入店から退店まで"完全非接触"を実現している。