阿部が演じる桜木建二は、16年ぶりにどのような姿を見せてくるのか。飯田氏は、桜木の魅力を「教師ではなく弁護士なので、生徒に対して熱血ではない。あくまで自分の利益を追求する中で、生徒の未来を考えていて、心の奥に優しさや熱さがある」と述べ、そういった人柄や理念は前作と変わらないが、時代とともに桜木も進化しているという。

「桜木はおそらく世の中の流れに一番ちゃんと乗っかれている人間。人を動かすには何が必要か、人が変わるためには何が必要か、16年経っても変わらない根本を捉えながら、時代とともに移り変わったものもしっかり捉えている」と説明。東大合格のための“桜木メソッド”と呼ばれる勉強法も進化し、今回はスマホを使った勉強も出てくるそうだ。

飯田氏は前作の制作には関わっておらず、阿部とタッグを組むのも今回が初めて。阿部の徹底した役作りに驚かされているようで、「役に対するこだわりや突き詰め方が本当にすごい。自分自身で『これでいいのか』と常に考えていらっしゃる。豪快な方なのかなと思っていましたが、繊細な部分もあって、そこがすごく魅力だなと感じています」と語る。

前作の良さをしっかりと踏襲しながらも「新しい『ドラゴン桜』にしたい」という思いは阿部にも伝え賛同してくれたという。「同じ役を演じられるので、桜木建二という役は阿部さんの中にあると思いますが、阿部さんも“新しい『ドラゴン桜』”を考えてくださり、『この桜木建二でいいですか?』、『今の演技どうですか?』と、視聴者の受け取り方を常に気にしながら繊細に役を作られていて、物事を作り上げるのに一番大切なことを阿部さんから学んでいます」とその姿勢に感嘆。「それも独りよがりではなく、ドラマ全体のバランスを考えていらして、常に客観的に見ている。総合的にクリエイティブをしてくださる方で素晴らしいなと。大きな支えになってくれています」と感謝している。

また、「前作では40歳だった阿部さんが56歳になり、年齢、キャリアと共に阿部さん自身にも説得力がより増している。その積み重ねをプラスにしながら桜木建二の本質をしっかりと表現して下さっている」と語る。阿部は同じ日曜劇場で放送された『下町ロケット』(2015年、2018年)でも主演を務め、熱血社長と社員の物語は大きな感動を呼んだ。そういった阿部のキャリアも投影され、桜木の説得力が増しているという。