チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコという人気と実力を兼ね備えたお笑い芸人たちが出演するフジテレビ系バラエティ番組『新しいカギ』(毎週金曜20:00~)が、23日に2時間SPでスタート。コントを中心に様々な企画を繰り広げるフジ伝統の“総合バラエティ”がゴールデンタイムでレギュラー放送されるのは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』『めちゃ×2イケてるッ!』が終了して以来3年ぶりということで、出演者・スタッフがその喜びを噛み締めながら制作に臨んでいる。
そこで、番組の総合演出を務めるフジテレビの木月洋介氏にインタビュー。立ち上げの経緯や収録現場の裏側などについて、話を聞いた――。
■個性がかぶらない“七人の侍”3組
最初の特番が放送されたのは今年1月3日だったが、その半年前から制作に向けて動き出していたという。
「バラエティの幹部から、『コント中心の総合バラエティを作ってくれないか』という依頼があり、中嶋(優一)Pと考えるところからスタートしました。僕らとしても、元々こういう番組はあったほうがいいというのをずっと言っていたので、やっとできると思いましたね」(木月氏、以下同)
当時は、いわゆる“お笑い第7世代”芸人たちの番組が次々に生まれていた頃。「そういった番組とは一線を画すような、世代を超えて実力と人気のある人たちで、個性がかぶらない3組が集まってくれました」と、チョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコに白羽の矢が立った。
漫才師・コント師、吉本・ワタナベ、あるいはツッコミのスタイルという部分でそれぞれ特徴が異なり、制作統括の中嶋氏は“七人の侍”と表現。「『キャスティングは“七人の侍”のように全員がかぶらないようにしなさい』と王東順さん(『なるほど!ザ・ワールド』『クイズ!年の差なんて』などのプロデューサー)から教えを頂きました」と、レジェンドの先輩の言葉が生きている。
そこから様々な調整を経て、12月に収録。この時点で「4月からのレギュラーになれるような結果を残してほしい」と命を受けており、1月の放送後すぐ、正式にレギュラー化が決まった。
■現場の士気は「非常に高いです」
しかし、時間帯はまさかのゴールデンタイム。この決定に「コント番組というのは演者同士もそうですが、我々スタッフと演者との間にも“熟成”が必要。そこができてからかな…と思っていたので、恐ろしいです(笑)」と本音を吐露するが、現場の士気は「非常に高いです」と胸を張る。
「テレビのスタジオコントって今は本当に珍しいので、演者さんは1つ1つのセットに感動しているようです」といい、先日取材に応じたチョコプラの松尾駿は「めちゃくちゃ豪華なセットを用意してもらってるので、もう豪華なセット見てるだけでいいんじゃないかいうくらい」、霜降り明星のせいやも「セット見てるだけで視聴率とれる!」と興奮していた。
この“視聴率”において今回の番組が主なターゲットとするのは、フジが重点指標として位置づける「キー特性」(13~49歳)だ。ネットニュースでは、従来の世帯視聴率の数字ばかりが取り上げられるが、最近「低視聴率」と報じられた『R-1グランプリ2021』(カンテレ・フジ系)も、『相席食堂 一夜限りのゴールデンSP』(ABCテレビ・テレビ朝日系)も、実は各局が重点指標とする視聴率では「健闘」と言える数字をマークしている。
『新しいカギ』は、キー特性で1月の特番が横並び2位となったことや、昨今のフジのコント特番がキー特性で軒並み高成績を上げていることから、一気にゴールデンでのレギュラー化が決まった。今後、『沸騰ワード10』(日本テレビ)、『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレ朝)、『ぴったんこカン・カン』(TBS)といった強豪と、重点指標でどのような勝負を繰り広げるかがポイントになってくる。