日本テレビ系情報番組『ZIP!』(毎週月~金曜5:50~)がこの春、総合司会に水卜麻美アナウンサーを迎えてリニューアルした。週平均の個人全体視聴率(ビデオリサーチ調べ・関東地区)は、2週目(4月5~9日)4.5%、3週目(12~16日)4.7%で推移し、同時間帯民放並び個人視聴率トップと、好調なスタートを切っている。
新たな番組コンセプトとして「一緒にニッポンの朝を。つなごう、みんなのスマイルを。」を掲げているが、この“スマイル”は水卜アナを象徴するもの。そんな彼女の魅力を前面に打ち出した今回のリニューアルの狙いについて、総合演出の池谷賢志氏に話を聞いた――。
■リニューアル後の“修正”が早い
3月29日のリニューアル初回からここまでを振り返り、「帯番組の大規模なリニューアルというのはこれまで5~6回は経験しているんですが、だいたいはOAを見ながらミスがあったら2~3週間くらいかけて修正していくということが多いんです。でも、今回はその修正が早くて、月曜パーソナリティーの風間(俊介)さんが、リニューアル後2度目の月曜生放送(4月5日)が終わって、マイナスの指摘ではなく、プラスのアイデアを言っていただけましたし、我々としてもうまくスタートできたのかなと思っています」と、実感を語る池谷氏。
初回のエンディングで、『スッキリ』とクロストークを行った際、加藤浩次は「水卜ちゃん! もう10年くらいやってるくらいの感じだよ!」と抜群の安定感を評価していたが、池谷氏も「水卜さん自身のポテンシャルの高さが、順調にスタートを切れた大きな要因だと思います」と分析する。
■リハーサル中にスタジオの端でずっと下を向く水卜アナ
朝の情報番組といえば、通勤通学前の忙しい視聴者に向けてより多くの情報を届けるべく、短いコーナーをつないでテンポよく進行していくのがセオリーだが、水卜アナの投入に伴い、それにとらわれない番組作りに挑んでいる。
まず、スタジオのやり取りは「会話が生まれるように、余裕をもたせています」とのこと。「水卜さんが『スッキリ』やバラエティ番組でプレゼンをするときに、出演者の方が『よく目が合うんです』とおっしゃってるという話を聞くんです。それによって自然と会話が生まれるので、できるだけ“遊び”ができるように、5~10秒と短い時間でもやり取りができる“のりしろ”を作るように意識しています」と、説明を詰め込みすぎない構成にした。
各曜日パーソナリティーによるプレゼンコーナー「プレゼンZIP!」は、生放送前にリハーサルを行っているが、水卜アナはそれをなるべく見ずに本番に臨むという。
「大抵のアナウンサーは、先に知っておきたいんです。それは、もし大事な部分が漏れてしまった場合にフォローしたいという心配があるから。でも彼女の場合は、“自分のファーストリアクションを信じたい”という思いがあるんですね。この前もリハーサルのときに、スタジオの端でずっと下を向いて待っていて(笑)。それが、生放送に対する彼女の臨み方なんです」と、こうした面でも自然な会話が生まれる環境を作り出している。
■「正直怖い」長尺のインタビューコーナー
また、水卜アナが話題の人・気になる人にインタビューする「mito_meets」も、10分という放送尺でじっくり話を聞いていくコーナーは、平日の朝番組において異例。「これまで、女優さんや俳優さんなどに、クイズやゲームを交えながらという形ではやったことがありますが、ストレートにインタビューだけというのを定期的にやるのは初めての試みなので、我々としても正直怖いというのはあります」と吐露するが、「水卜さんがインタビューアーとして入ることによって力のある言葉を引き出せれば、視聴者の皆さんに届くと思うんです」と期待をかける。
このコーナーは水卜アナが「いろんな方々と1対1でしっかり話せるコーナーがあればうれしいです」と希望して立ち上がったほど思い入れが強いそうで、初回に登場したNiziUに「キラキラして、すごいね!」と感動する様子も。先週放送の第2弾では、千葉県知事・熊谷俊人氏にインタビューし、23日放送の第3弾では国際宇宙ステーション(ISS)滞在中の JAXA宇宙飛行士・野口聡一氏が登場する。今後もエンタメにとどまらず、政界財界も含め硬軟織り交ぜて実施していく計画で、水卜アナも「会いたい人がいっぱいいます」と意欲を示している。