3月14日、配信ライブ”Animelo Summer Night Ⅱ in Billboard Live”が開催。昨年夏の開催に引き続いて第二弾として行なわれた今回のライブには、第一弾に出演した早見沙織や”Animelo Summer Live 2021 -COLORS-”のテーマソング を手掛けたオーイシマサヨシ、今回初出演のReoNa等多彩な顔ぶれが出演。前回同様Billboard Live YOKOHAMAといった会場の特性も踏まえて、様々なアーティストが普段のアニサマとは違う魅力を発揮してくれた。
●ビルボードならでは! バラード多めの”聴かせる”構成
開演時間を迎えると、まずは”アニサマ2021”のテーマソング「なんてカラフルな世界!」のインストをバックにOP映像がスタート。続いて出演者ラインナップを紹介するという流れはアニサマらしい部分でもあり、昨年夏のアニサマナイトを踏襲した部分でもある。
その映像が終わり、まずトップバッターとしてステージに立ったのは高槻かなこ。最初に披露した「Anti world(King of Anison ver.)」は彼女にとって大事なソロデビュー曲。しかも、疾走感と攻撃性を持ち合わせた原曲ではなく、会場に合わせて今月発売したアニソンカバーシングル「King of Anison EP1」版だ。特にスピード感が原曲とは全く異なるバージョンだが、高槻が歌声に込める心の熱さは変わっておらず、逆にこのアレンジを生かして情感をたっぷり込めて堂々と力一杯歌っていく。
曲明けには「一緒に会場にいると感じられるように、愛と情熱をもって届けていきます!」と宣言すると、もう1曲歌唱したのは前述のアニソンカバーシングルに収録された「プラチナ」。冒頭のフレーズから思い切り歌い上げて”高槻色”を感じさせると、トップバッターとして1曲歌ってから緊張もほぐれたのか1サビから笑顔でカメラに迫っていくほどに楽しさ全開。彼女の歌声に似合うロッキンなアレンジに乗せて、この瞬間自分の中に湧き上がった想いをそのままアウトプットしていった。
続いて登場したのは鈴木みのり。自ら曲間のMCでも語っていたが、今までアニサマにおいてはアッパーチューンで鮮烈な印象を残していくことが多かった鈴木は、今回はバラード2曲で”アニサマファン”に新しい顔をみせる。まず「夜空」では、序盤こそささやくように優しく歌い始めるも、Bメロの後半から徐々に徐々にクレッシェンド。
サビではミラーボールが満天の星空を視覚的にも表現するなか、鈴木の歌声もそれを想起させるような広がりをもったものに。ボーカルワークの巧みさを改めて感じさせる。同時にその星の瞬きのようなきらめきとどこかキュンとくる声質も、楽曲にベストマッチのものだ。
続いて、「しっとりと、でも幸せあふれる感じで歌っていきたい」と歌ったのは「エフェメラをあつめて」。先ほどよりもほんの少し、明るさをさらにプラスして歌い始められたこの曲は、晴れやかさを大事にされていた印象。サビでは差し込む陽の光のような照明効果も相まってか、歌声も一段とぱあっと光放つようなものとなる。
このように楽曲自体に込められたワクワクや希望を最大限に増幅させて届けられる点が、鈴木みのりの歌声のもつ大きな魅力のひとつだと、アップテンポではない曲を通じてたくさんの人へと十二分に伝わったことだろう。
歌唱後、ステージに残った鈴木が呼び込んだのは、早見沙織。このふたりといえば『カードキャプターさくら』ということで、TVアニメ第1期のEDテーマ「Groovy!」でコラボを披露。
歌い出しから早見の歌声に存在するたまらないグルーヴ感も、鈴木のクリア感のある歌声も、いずれも違う側面から楽曲にハマるもの。それが重なって、Dメロで響かせたハーモニーも非常に美しいものであり、歌声の相性の良さも感じさせる。また、後奏では楽曲のコーラス部を担う鈴木の歌声に、アドリブスキャットで早見が呼応。コンビネーションの良さもみせたところで出番を締めくくり、前半戦のトリ・大橋彩香にバトンタッチ。
●エールとエネルギーを届けた、大橋彩香のステージ
大橋はまず、最新アルバム『WINGS』のリード曲であるエールソング「START DASH」を歌唱。無観客であっても、映像を通じて観る者・聴く者にエネルギーを与えられる大橋彩香というシンガーが、アニサマナイトという場でこの曲を歌いエールを送ることにもまた、大きな意味があったのではないだろうか。しかもそれを届ける大橋の歌声は、ぐんと背中を推してくれるようなパワフルさを増していたし、生演奏のホーンセクションもこの曲のエネルギッシュさをさらにプラスしてくれたように思う。
曲明け、モニターでのサイリウムやギフトアイデムでの反応に感謝と喜びを示すと、続いて「ヒトツニナリタイ -Acoustic Ver.-」を歌唱。直前の鈴木同様に普段のアニサマとは異なる表情をみせる。元々自身のワンマンライブでは、アコースティックコーナーを設けるなどの取り組みを行なっていた大橋。
その経験を生かして”聴かせる”1曲として届けたこの曲では、特に2番に入ってから表情を含めて感情がより顕著にあらわとなり、楽曲への没入度合いの深まりを感じさせる歌声を響かせる。後奏では「みんなも一緒に歌ってください!」とシンガロングを呼びかけて腕を振り、カメラの向こうと大橋がヒトツニなった瞬間を生み出していた。
と、ここで「エモーい!」との叫びとともに、ステージにオーイシマサヨシが登場。ピッチやロングトーンなど具体例を挙げて彼女の成長を称賛すると、「進化したねぇ!(オーイシ)」との言葉を受けて、オーイシが大橋に楽曲提供し、レコーディングのディレクションまで行なった「シンガロン進化論」のコラボへ。
ここではあくまでも”大橋の出番にオーイシがお邪魔する”というスタイルで、大橋がメインを歌いオーイシがハモを担当。伸びやかかつ楽しそうに歌う大橋に、オーイシが上ハモ・下ハモどちらも対応して、生にもかかわらず素晴らしい完成度のハーモニーを作り出す。
最後のフレーズで向かい合って拳を突き上げて曲を締めてオーイシを送り出すと、シームレスに前半戦ラストナンバー「NOISY LOVE POWER☆」へ。会場では事前録音のコールを受けながらも、サビ前では画面の向こうのオーディエンスにコールを呼びかける大橋。オーイシが語った”成長”を落ちサビの歌声の力強さなどで改めてみせたところで、「アニサマナイトー! 最高の時間をありがとー!」とシャウトし、ジャンプエンドで前半戦を締めくくった。