声優、そしてアーティストとして活躍する石原夏織の6thシングル「Plastic Smile」が、2021年4月21日(水)にリリースされる。

  • 石原夏織「Plastic Smile」(初回限定盤)

表題曲「Plastic Smile」は、自身も三島柚葉役で出演するTVアニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のエンディングテーマ。作詞を磯谷佳江、作曲を三好啓太、編曲を佐藤純一(fhána)が担当している。

一方、カップリングに収録される「キミに空とクローバー」は、作詞をこだまさおり、作曲を畠舎聖悟、編曲をsugarbeansが手掛けており、軽快なリズムとおしゃれなサウンドで、春の訪れを感じるような楽曲となっている。

そこで今回、リリースを前に石原夏織が語ったメッセージを紹介しよう。

●石原夏織が語る6thシングル「Plastic Smile」

――「Plastic Smile」は、4月から放送開始となったTVアニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のエンディングテーマになっていますが、曲を作る際、どのような曲にしようと思いましたか?

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のエンディングを担当させてもらうことが決まってから、どんな曲にしようって打ち合わせをしたのですが、原作を読んだとき、ヒロインの沙優が悩んだり、家出したりした理由を考えて、ただただ明るいだけではなく、ちょっとした切なさを感じました。でも、吉田と出会い、どんどんと変わっていく、明るくなっていく感じもあったので、明るくて切ない曲ができないかなって思いました。これまでに歌ったことのないテーマだし、自分の声質にも合うんじゃないかと思ったので、この線で行こうと。

――ということは、沙優視点の曲という感じでしょうか?

そう捉えることもできますが、どちらかと言うと、登場するみんなの心情も含めての曲に仕上がっていると思います。

――エンディングテーマということを意識した部分はありますか?

この曲もリズムのある曲ではありますが、オープニングはもっと華やかでリズミカルなイメージがあったので、それとは違う感じだけど、その中でもスピード感のある曲がいいなというのが意識したところです。

――レコーディング前に曲を聴いた感想はいかがでしたか?

まだアレンジが全然完成していない段階だったんですけど、まずは、自分が持ってそうで持っていなかった曲だなって思いました。そして、歌詞も入っていない状態なので、心にすっと入ってきて、すごく感動できる、いい曲ができたなって思いました。

――歌詞を最初に見たときの印象は?

作品を観てくださる方には、作中のシーンや情景が浮かんでくるし、作品をまったく知らない人でも、これまで経験したことの中に結びつくところがたくさんあって、共感してもらえるんじゃないかと思いました。すごく良い歌詞で、最初にチェックしたときも、自分では直すところはほとんどなくて、すぐに大丈夫ですって戻しました。

――歌詞が気になっても変えてもらうこともあるのですか?

内容が気になるというのではなく、歌い回しで、歌いにくかったりする部分を直してもらうことはあります。

――レコーディングはスムーズでしたか?

少しセットキーが高くて、自分的には冒頭から、割と張らなければいけないというか、強く出さないと歌いづらい感じだったんです。歌詞やメロディの流れを考えると、サビに向かってどんどん盛り上がっていき、なおかつ3番に向かって盛り上がっていかないといけないのに、頭からこの強さで歌うのはどうなんだろうと、ちょっとモヤモヤした感じでレコーディングに挑んだのですが……。

――モヤモヤというのは?

たぶん、この歌い方じゃないと思っていたんですよ。もっと細くて繊細な感じで歌いたいのに、キーの話だけでいうと、強く歌わないと歌いづらい。でもそれだとニュアンスも出せないし、サビならまだしも、1Aの歌い方ではないなと。このままだとただただ真っ直ぐな曲になってしまう。でも、抑えすぎるのも違うんじゃないかと思ったんです。バラードならそれでもいいけど、この曲はバラードではないので。そんなモヤモヤを抱えながらレコーディングを始めたのですが、やはりみんなもちょっと違うよねって感じになって。だから、佐藤純一さんとプロデューサーと私の3人で、何度も検証しながら進めました。いつもならサラッと録れてしまうんですけど、今回はちょっと難しくて、苦戦しました。

――キーなどはいじらずに歌い方で調整した感じですか?

いつもならキーを変えたりもするんですけど、今回はたぶんこれがベストだと思っていたので、キーはいじらず、歌い方で工夫しました。

――そうなるとライブなどでは大変ですね

そうなんです。実際、レコーディングが終わった後、無事に録り終えて良かったと思ったのと同時に、ライブでは絶対に歌えない!っていうのが頭をよぎりました(笑)。

――そんな苦労した曲の仕上がりを聴いた感想はいかがでしたか?

レコーディングのときは、まだアレンジが6割くらいだったのですが、完成版では、繊細さと深みがいろいろな音で表現されていて、単純に曲としてすごくいいなと思いましたし、曲を作るのってすごく面白いと思いました。同じメロディなのに、アレンジによってまったく別のモノになってしまうのがすごく面白くて。曲を作っていない私ですら面白いと思うほど、すごい世界なんだとあらためて感じました。

――そして、次は自分でやろうと

できないできない(笑)。知識がなさすぎます。

――実際に歌ってみて、歌詞の内容とか、印象が変わったところはありますか?

歌詞をチェックしたときにすごく気に入った部分は、2Aの「いつからだろう 一歩引くクセ身に付けて 慣れてしまってた」というところで、すごくわかるなって。言いたいことはあるんだけど、この場で言うことではないだろうと思って言わなかったりして、また今日も言えなかった、みたいに落ち込むことがあったんです。それは決して悪いことではないと思うんですけど、言えたほうが良いこともあるじゃないですか、後悔するくらいなら。だから、そんな自分が嫌だったんですけど、この歌詞を見て、肯定されているというか、けっこうみんなが同じように考えているんじゃないかと思えるきっかけになりました。だからここがすごく印象に残っていたんですけど、実際に歌ってみると、落ちサビからラストサビにかけて、ちょっとフレーズが変わったりもするのですが、すべてが吹っ切れて、青空の下で歌っているようなイメージが急に頭に思い浮かんだんですよ。そのときの清々しい気持ちだったり、細かいことは良いやっていう気持ちだったりが、すごくいいなと思いました。なので、最初から好きだった部分はもちろん、歌うたびにいろいろな表情に出会えるところも気に入っています。