具体的なアドバイス

それでは具体的なアドバイスをみていきましょう。

正社員として働き、収入を安定させる

お1人で2人のお子様を育てるという固い決意と、それを実行されている様子に頼もしく思います。離婚調停が完了したあと、具体的なお金のやりくりが変わってくる可能性もありますので、ここではまずT子さんが考えられているように、養育費がない前提で今後の収支や資産形成について考えてみましょう。

パート先のご厚意やご長男のバイトなどもありますが、食べ盛りのお子様2人がいるなかで支出を上手に抑えられていることに好印象を受けます。できればこのまま上手に支出を抑え続けられるといいのですが、今後は長女さんも成長とともに衣服代や友だちとの付き合い、教育関係などで今よりお金がかかってくると予想できます。

パートとはいえ社会保険にも加入できるほどの状況ですから収入面でもとりあえずは安心ですが、今後のためにも収入を上げることを考えたいです。「同一労働・同一賃金」という制度も始まり、パートなどの非正規社員でも正社員と待遇差を解消することが企業に求められるようになっています。それでも雇用契約に期間の定めがあるなど、就業・収入確保の面で正社員に比べてパートは不安定な場合が多いのが実情です。

T子さんの仰るとおり、できれば今後は正社員として働く道を探されるのが良いと考えます。もしもうまく見つかりそうにない場合には、ハローワークに登録し、「ハロートレーニング制度」を活用されるのも手です。

ハロートレーニング制度には、雇用保険を受給している求職者が受けられる「公共職業訓練(離職者訓練)」と、資格を満たさず雇用保険を受給できない求職者が受けられる「求職者支援訓練」があります。T子さんの現在のパート雇用の状況によって、どちらか一方が受けられるのではないかと思います。

これは、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で受講できる制度です。ハローワークで職業相談をすることで、希望や適性に合いそうな職業訓練先を紹介してくれます。さまざまな訓練先があり、訓練後の就業率も高めです。

たとえばT子さんは飲食関係の職場でパートをされていますが、食育指導員養成訓練というのもあります。すぐにパートを辞める必要はありませんが、一度ハローワークで相談されてみてはいかがでしょうか。

リスクの高いFX投資は余裕資金ができるまで待つ

低金利の昨今、将来の資産形成のために投資を検討されるのは間違った考えではありません。しかし、プロの投資家でもない限り、投資はあくまで余裕資金で行うのが鉄則です。

とくに、投資性商品のなかでもFXは株や投資信託に比べてリスクはかなり大きい金融商品です。「小さな元手で大きく増やせる」というのは、それだけ「うまくいかなかったときの損失も大きい」ということになります。これまで投資経験のないT子さんがいきなりFXを始めることはおすすめできません。仮にデモ投資でうまくいっていたとしても、実際の投資ではデモ通りにいかない可能性もあることを知っておきましょう。

今ある170万円の貯金は、万一、病気や失業で収入が途絶えたときの緊急予備資金や長女さんの中学・高校への入学資金、長男さんの高校卒業後の進路のための資金として置いておくほうが賢明です。

少額から投資信託の積み立てを始めてみる

投資でお金を増やすことを検討されるなら、まずは少しの金額から投資信託を買ってみるといいでしょう。投資信託は投資性商品のなかでも、リスクが低めと言われていますし、1万円程度の少額から購入できるものも多くあり、投資の入門としておすすめの金融商品です。

金融機関によっては、投資信託を最低500円や1,000円から月々積み立てできるものもあります。積み立て方式で定期的に投資信託を購入する方法は、一般的に、リスクを抑えながら複利効果で資産の増加が期待できると言われています。積み立てするなら、「つみたてNISA」を使えば投資収益に税金がかからないのでより効率的です。

とはいえ、現在、月に2万円程度の余裕が出る月もあるようですが、そのすべてを投資に回すのはおすすめしません。これから2人のお子様やT子さん自身のために必要なお金が、いつ、いくら程度なのかを洗い出し、その時期と金額によって預貯金と投資に分けて積み立てしていくようにしてください。


今回の相談内容と皆さんの家計簿に似ている部分があるようでしたら、ぜひともFPの方のアドバイスを参考にしてみてくださいね。