ワイヤレスオーディオの進化点を詳しく解説

Xperia 1 IIIはスピーカー再生時の音圧(音の密度感)がXperia 1 IIと比べて約40%向上しているそうです。低音のスピード感が向上したことで、音楽・映画を問わずサウンド全体の緊張感がグンと高まっていました。

Xperia 1 IIIでは本体のトップ側に搭載する3.5mmイヤホンジャックからの出力も強化されています。Xperia 1 IIとの比較では、こちらも最大音圧が約40%向上しています。

  • Xperia 1 IIに引き続き、本体のトップに3.5mmヘッドホンジャックを搭載。ハイレゾのネイティブ再生が楽しめます

今回のイヤホン出力の強化はアンプやDACのICチップを新たに外付けしたのではなく、出力回路を構成する部品のグレードアップと、回路全体の設計を丁寧に見直したことで実現しています。音圧がただアップするだけでなく、ボリュームを上げて聴いた場合に発生しがちな「歪み」も減らして、騒がしい場所でもクリアでスムーズな音が楽しめるようになっています。

今回組み合わせて聴いたソニーの「MDR-Z7M2」、筆者が持ち込んで聴いたゼンハイザー「HD 560S」のようなHi-Fiヘッドホンも、Xperia 1 IIIは余裕たっぷりに鳴らし切りました。Xperia 1 IIと比べながら聴くと、Xperia 1 IIIの方が高域の見晴らしがクリアになり、低音の肉付きが良くなっているように感じました。全体にざらつきのない透明感あふれるサウンドです。

「これこそが待ちわびた究極のハイレゾスマホだ!」と、Xperia 1 IIIを試聴しながら筆者も思わずひざを打ってしまいました。

LDACとaptX Adaptiveで96kHz/24bit対応に

Bluetoothオーディオは、96kHz/24bitのハイレゾ再生に相当する高品位なサウンドを実現するソニー独自のコーデック「LDAC」に対応したほか、クアルコムのSnapdragon 888チップに搭載されているaptX Adaptiveを採用。Xperia 1 IIIの発売時点では最大48kHz/24bitまでの対応ですが、SoC側がaptX Adaptiveによる最大96kHz/24bitのハイレゾ再生に対応することから、将来的にはXperia 10 IIIも含めてソフトウェアアップデートで対応することも検討しているそうです。

また、Xperia 1 IIIは、Bluetoothオーディオ機器との組み合わせによりVoLTE相当の高品位なハンズフリー音声通話を実現するクアルコムの新技術「aptX Voice」にも、アップデートによる対応を将来的に予定しています。

aptX Adaptiveによる96kHz/24bitのワイヤレスハイレゾ再生、aptX Voiceへの対応はともに同じコーデックと機能をサポートする、クアルコムの最新世代Bluetoothオーディオ向けSoCを載せたワイヤレスヘッドホン・イヤホンとの組み合わせがあってこそ活きてきます。

どちらも、本稿を執筆している2021年4月時点では対応するオーディオ機器が発売されていませんが、おそらく今年の後半にはソニー以外のメーカーから続々と発売されるものと見られています。

ちなみに、aptX AdaptiveはBluetoothオーディオによる89ミリ秒前後の低遅延性能を併せ持つコーデックです。動画鑑賞からモバイルゲーミングまで、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンで快適に楽しめるコーデックとして要注目です。

Xperia 1 IIIはさらに、SpotifyやAmazon Music Unlimitedなど44.1kHz/16bitのロスレス品質に満たない音質で配信される音楽サービスや、MP3のダウンロード音源などを、ハイレゾ相当の音質にアップコンバートしながら聴ける「DSEE Ultimate」をXperia 1 IIに引き続き搭載。本体のオーディオ設定から機能をオンにすると、有線・無線のどちらの環境でもより高品位なサウンドが楽しめます。