コンビ結成7年目のお笑い芸人・オズワルドが、着実に存在感を高めている。畠中悠の奇妙で不思議なボケに、伊藤俊介が付き合いながらつぶやくようにツッコミを重ねる“静”のしゃべくり漫才が特徴で、『M-1グランプリ』では、2019・2020年と2年連続で決勝に進出している。
4月9日に初のルミネtheよしもとでの単独ライブが控えている彼らがこだわるのは独自の漫才であり、それを突き詰めた上での『M-1グランプリ』優勝が目標だ。昨年の大会では審査員であるダウンタウン・松本人志らの指摘を受け、自分たちの漫才に迷いも生まれたとテレビ番組で語っていた2人。あれから数カ月、オズワルドは迷いの突破口を見つけたのか――。
――『M-1グランプリ』でもオズワルドさんらしさを発揮されていますが、その独特のしゃべくりスタイルは結成当時からですか?
伊藤:最初の頃は明確に突っ込まないスタイルでやっていたんですけど、それではいろいろと勝てないだろうと思い、僕が正式にツッコミになりました。
――それまでは両方ともボケだった?
伊藤:ノリツッコミ、ノリボケでずっとやっていました。でも、畠中と組む2年目の時に『M-1グランプリ』の1回戦で落ちたんです。このままではきついと思っていたら、ダメ押しのようにまんじゅう大帝国が出てきて、カテゴリーでいうと同じだったんです。同じやり方なら彼らのほうが上手かった。俺たちが先なのにバクったと思われかねないくらい向こうがお見事だったので、徐々に今の感じになっていきました。5年くらい前のことです。
――その後、2019年、2020年と『M-1グランプリ』でファイナリストになり、知名度も上がったことで、コンビとしてさらに成長・変化したのでないでしょうか?
畠中:ウケやすくはなりました。『M-1』の決勝の前にルミネに出演する機会をもらったんですけど、まったくウケなかった。いずれ決勝でやるネタだったのですが、まったく知らない奴らが出てきて奇妙なネタやってもダメなんですよね。
伊藤:ネタにもよるかもですね。『M-1』のネタは寄席でやってもウケないんです(笑)。だからネタを使い分けていかなくちゃと思います。
畠中:それでもまったく知られていない時よりはウケやすくなってきたなという感じはします。
伊藤:『M-1』には感謝しています(笑)
――その『M-1』とは、おふたりにとってどういう意味合いの大会でしょうか?
伊藤:現状は生きがいそのものですね。お笑い芸人として売れたいし、僕はめちゃくちゃテレビに出たい人なのですが、それと『M-1』は別ものというか、絶対に優勝したいんです。
畠中:僕はテレビに出て売れたいとは思っていないんです。漫才師に憧れているので、一生ネタをやっていたいし、一生劇場に出たいので、そのための、一個の称号としてM-1チャンピオンになりたい。世間も認めてくれますし、自分らの誇りになりますし。
――笑いの頂点を目指す過程で気づいたことはありますか?
畠中:ネタの進化を感じます。ブラックマヨネーズさんの掛け合い漫才、チュートリアルさんの憑依型、パンクブーブーさんの凄まじいシステム。それを踏まえると、新しい、とんでもないものを作らないと優勝はできない。僕らの場合も普通の愉快な漫才とは若干違うので、これを突き詰め、その最高峰を出さないと優勝はできないのかなと思います。
伊藤:向いていないこともやらないと勝てないと思う。得意なことだけをやっていると狭まってしまうというか、これもできるあれもできるが増えていくほうが強くなる。ミルクボーイさんにしたって、あのパッケージをやりながら、いろいろなことを加えていって、その結果の優勝だと思います。
畠中:一昨年よりは去年のほうが進化しているとは思いますが、またさらにそれを超えていかないといけない。
伊藤:そもそも相当いいものがないと決勝には行けない。去年と同じものを持って行っても、決勝にあげてくれないと思います。