――今回の『ゲンムズ』のストーリーを知ったときの、率直な感想を聞かせてください。
「なるほど、こういう展開なのか」と感心しました。『仮面ライダーエグゼイド』の要素に『ゼロワン』の要素がしっかり融合している。 楽しみながら台本を読みました。
――岩永さんが檀黎斗を演じるにあたって、特に意識していることとは?
あえて言うならば"他人との接し方"ですね。黎斗は自分の中にある考えを相手に押し付けようとはせず、常に"問いかけ"をするキャラクターでいたいんです。表面的な答えはすべて把握しているけれど、相手から自分の知らないような答えが飛び出してくるのを期待している。相手を"試している"と言ったほうがいいかもしれません。戦いについても、俺の方が強いだろうと圧倒するより、「どうした、お前の力はそんなものか」と煽って、相手の力を最大限に引き出そうとする。人より"優位"でいたいのは間違いないですが、それ以上のものを常に求めているのが檀黎斗なんだと思います。
――"社長ライダー"の後輩である仮面ライダーサウザー/天津垓役・桜木那智さんと共演されたご感想をお願いします。
『ゼロワン』を事前にチェックして、どんなストーリーでどんなキャラクターが出ているかをだいたいつかんでいましたから、天津垓との絡みもスムーズにいきました。桜木くんは『ゼロワン』ではパンツ一枚になったりして、大活躍していました。実際にお会いすると、役を作るのにとても努力していて、すばらしいと思いました。実際の年齢は僕より下ですが、垓の設定年齢が40代なので、役に合わせた対応を心がけました。
――垓の秘書を務めるヒューマギア・厘(リン)を黎斗が奪い取ろうとするシーンもありましたね。厘を演じるメドウズ舞良さんの印象はいかがでしたか。
ロボットらしい演技を頑張ってやっているなあと、感心しながら撮影の様子を見ていました。合間でお話をしているときとぜんぜん雰囲気が違っていて、とても良かった。彼女の演技を見ていると、ロボットを演じるのも面白いなって思いますね。
――今回の作品で、檀黎斗の新たな一面が見られたりしますか。
『エグゼイド』ライダーのモチーフは、みなさんご存じのとおり"ゲーム"でしたから、ゲーム的な"レベルアップ"の要素は常に自分の中で持っていたいと思っていました。そんな考えもあり、檀黎斗を演じるにあたっては彼を"常に高みを目指し、レベルを上げていく"人物として表現したかったんです。僕自身にも同じ思いがありますので、新作では今まで通りでありつつ、少し違った考え方ができる黎斗をお見せできるのではないかと思います。
――もしも今後、檀黎斗がさらなる"復活"を遂げることがあれば、岩永さん的にはどんなことをやってみたいですか。
『ゲンムズ』の撮影を経験したことで『ゼロワン』世界の"ヒューマギア"って面白い存在だなと、強い興味を持ちました。人間は過去のことで悩んだり苦しんだりしますが、そのことが現在のパフォーマンスに悪い影響を及ぼしたりするでしょう。過去のことにとらわれている時間が"もったいない"と常々考えていましたから、ロボットのように脳内のデータから過去の一部分だけを消し去るとか、人間の記憶や感情をコントロールするようなマシンがあったら……なんて夢想しています。
――岩永さんご自身が、檀黎斗の人気の強さを感じられるような出来事はありましたか。
別の番組のスタッフさんから「エグゼイド観てました」と声をかけられることが今でも多いですね。みなさん檀黎斗の印象が強いので、まったくジャンルの違う番組の進行台本にも「ここでは、檀黎斗が商品プレゼンをしている感じでお願いします」なんて書かれていて、びっくりしたことがあります(笑)。
最近は海外のファンからメッセージが届くことも多いんです。中国のイベントに出演したとき、何も言葉を発するまでもなく"檀黎斗神"を意識して両手を広げただけで、観客がワーッ!と盛り上がったんです。何もしゃべらずに満席のお客さんを沸かすことのできる檀黎斗の存在が、改めて"すごい"と感じました。僕としては自分の中に"檀黎斗的なもの"を常に備えていますので、無理をせずともいつでも檀黎斗になることができます。
――『仮面ライダーゲンムズ ザ・プレジデンツ』のおすすめポイントを教えてください。
台本をもとに、そこから諸田敏監督をはじめとするスタッフさんたちがいろいろなイメージを膨らませ、アイデアを盛り込んでいます。細かく話し合いをしなくても、現場でお互いに"分かりあえている"スタッフ・キャスト同士のチームワークがすばらしかったので、そんな空気を画面から感じ取っていただければ嬉しいです。
台本に書いていないことでも現場でどんどんアイデアを出し合って、より面白い内容にするため惜しみなく努力した作品です。前編、後編ともとても面白いですので、ぞんぶんにお楽しみください。そしてまた、迷える人々の"神"を求める声がありましたら、檀黎斗としていつでも帰ってきます。黎斗の"いろんなものを自分の中に取り込みたい"という欲望は、尽きることがありませんから(笑)。
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