具体的なアドバイス

それでは具体的なアドバイスをみていきましょう。

家計状況を夫婦で共有する

M子さんが専業主婦ということもあり、家計管理を含めて家のことはほとんどすべてM子さんに一任されているとのことですが、お金のことをご主人にも共有されてみてはいかがでしょうか。

ご主人が健康を気にして買った食材などをチェックするようになったとのことですが、考え方によっては家庭内のこと、家族のことを一緒に考えてくれるようになったとも受け取れます。これを機に、家計にも関心を持ってもらうように努めてみましょう。もしかすると、「質の良いもの=値段は高め」ということはご存じでも、具体的にどれだけ高いのかはご存じないだけかもしれません。

普段よく利用する野菜や果物、お肉などの具体的な値段から始め、「トータルで食費がいくら」「家計収支がいくら」「貯金がいくら」「もしもボーナスがなければ貯金がどうなる」……と丁寧に説明されてみてはいかがでしょうか。

しかし、中には細かな数字をひとつひとつ言われることに不満を感じる方もいらっしゃるようです。言い方やタイミングには気をつけたほうがいいでしょう。

支出の優先順位を決めて、家計を見直す

コロナ禍で食費が上がったという家庭はM子さん世帯に限った話ではないようです。食費が増えた理由の大半は「外出自粛のために自宅で家族揃って食べる回数が増えた」「家族の在宅時間が増えてついついお菓子などをつまむ機会が増えた」というのが理由です。

一方で、「健康を意識した食材などを選ぶようになった」「免疫力UPを意識した食材などを選ぶようになった」といった回答が見られるアンケート調査もあるようです。

ご主人の仰るとおり、長い目で考えれば医療費の節約にもつながりますし、食べるものに気を配ることは健康のために大切です。世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスですから、過敏になるのは当然のことかもしれません。

とはいえ、家計のことを考えると収支をうまくやりくりし、将来のための貯蓄をしていくことも大切です。家計見直しでは、総務省の家計調査などのデータを参考にして同じような家族構成、年収の平均データと比較することも多いですが、ニューノーマルな生活となった今では「我が家の基準」を持つことが大切にするといいかもしれません。

そこで、ご主人と一緒に家計支出全体を確認し、「自分の家庭では何が一番大切か」といった支出の優先順位を決めましょう。そのうえで、食費が上がる代わりに何が削れるか見つけていきましょう。M子さんのご家庭なら、たとえばご主人にお小遣いの減額をお願いしてみるのもいいかもしれません。ほかにも夫婦で一緒に考えてみてください。

なお、削減できた支出分は必ず貯金に回せるように先取り貯蓄を申し込んでしまいましょう。使えるお金を減らしておくことで、そのなかでやりくりせざるを得なくなります。ご主人の財形貯蓄を増額してもいいですが、低金利の状況下ですから資産運用も検討してみてはいかがでしょうか。投信積立や株式累積投資(るいとう)などもおすすめです。

「食へのこだわり」にはふるさと納税を活用してみる

品質の良い食材は買うだけでなく、もらえるような仕組み作りをしておくのもおすすめです。たとえば、ふるさと納税では肉や魚介類、野菜、果物、加工食品など、返礼品として食材を送ってくれる自治体が多くあります。生産地や製造元がわかっているものが多いため、こだわりを持つ人には安心でしょう。

返礼品を送ってくれる時期やタイミングは自治体ごとに異なり、寄附してすぐに食材類を得られるわけではないですが、寄附先や寄附のタイミングをうまく分けてみるといいかもしれません。M子さんの世帯状況およびご主人の現在の年収でみると、年間6万4,000円程度までの寄附なら、実質2,000円だけの自己負担で返礼品を受け取れることになります。

「寄附」と「返礼品の受け取り」のタイミングにズレがあることは先に述べましたが、「所得税還付」のタイミングにもズレがあり、直接的には食費や家計支出の低減を感じにくいと思います。しかし、返礼品をお楽しみにすることで、普段買う食材へのこだわりを少し緩め、食費の上がりすぎを抑えられるようになるかもしれません。

先のアドバイスで資産運用について触れましたが、株主優待を目的に株式投資にチャレンジしてみるのもおすすめです。高品質の食材を送ってくれる会社もあります。10万円程度の投資で優待を得られる会社もありますので、余裕資金ができればトライしてみてはいかがでしょうか。


今回の相談内容と皆さんの家計簿に似ている部分があるようでしたら、ぜひともFPの方のアドバイスを参考にしてみてくださいね。