●無観客でも”音源通り”じゃない! ライブならではの歌い方の変化にも要注目

――一方、序盤のいわゆる”殺人セットリスト”の部分での非常に気持ちよさそうな姿も印象的でした。

めっちゃめちゃ楽しかったです(笑)。今回は無観客なので、きっとみんなもおうちとか声を出しても大丈夫な環境にいるだろうなという前提で、オンラインですけどそういうコンセプトの部分を作ることにしたんです。このご時世ではなかなか厳しくなってしまいましたけど、やっぱりライブって声を出して全身でお客さんと一緒に音楽を楽しむというのがいいところだし、その時間をいちばんフルにお届けできるのが”殺人セットリスト”だと思っているんです。

――その最初を飾ったのが、TVアニメ『ひぐらしのなく頃に 業』OPテーマ「I believe what you said」でした。

特にこの曲はバンドでの披露が初めてだったので、みんなにも「バンドだったらこんなふうになるんだ」と楽しんでもらえたところもあったと思います。意外とロックな感じにしても原曲の良さが壊れないし、ちょっとヘビメタっぽい重低音のある歌に仕上がっていて。しかも、ちゃんと『ひぐらしのなく頃に』という作品の世界観も表せている。バランスの取れたすごい曲ですよね。

――本番での披露が、リハの段階から楽しみだった。

はい。あとそのシングル収録の「Last Friday Night」と「SCREEEAM!!!」も初めてバンドで歌ったので、すごく楽しみでした。それと私、実はバンドの音に合わせて歌い方や声質を若干変えているんですよ。せっかくライブに来てくれるからにはそこでしか味わえない音楽を楽しんでもらいたいので、リハーサルを通じてバンドの人達と音楽を合わせるのと同時に自分の声やバンドの音とも向き合って、入念にチェックして細かく調整しています。

――アニソンカバーなど、セットリストの中にも現場ならではの部分もありますし。

そう。オンラインでもアニソンカバーはやらせてもらえてよかったです(笑)。残念ながらBlu-rayには収録されていないんですけど、やっぱりこれは現場に来てくれたり配信ライブを観てくれた人の特権といいますか(笑)。特別ゾーンとしていつもやらせてもらっているので、聴き逃して悔しんでいる方には、ぜひ次は直接足を運んだり配信ライブを観ていただきたいです!

――亜咲花さん自身の持ち歌も増えてきましたし、ライブごとにコンセプトも決めて、それに応じたアニソンカバーを盛り込んでも面白そうです。

わ、絶対やりたい! 実はコンセプトライブ、すごくやりたいんですよ。例えばバラードだけのしっとりゆったりソングコンサートとか、逆にロックだけとか。そういうふうにテーマに合った曲や会場を選んだライブをやりたいな……と思っていたらこういう状況になってしまったので、まだ実現はできていないんですけど。

――ただ、2月に開催された”ゆるっとライブ”はそういったイメージに近いものだったのでは?

そうですね。『ゆるキャン△』の曲をはじめ、おうちとかでゆったり楽しんでもらえる曲だけのライブをほぼ理想の形で実現させてもらったので、いろいろ落ち着いたら次はまず、お客さんを入れてのコンセプトライブを実現させたいです! 他にも元々はロックな曲をアコースティックにアレンジして届けたり……音楽って正解がないから、いろんな楽しみ方ができると思うんですよ。なので、デビュー5年目を迎えたこの1年は特に、今まで自分が届けたことのない形で音楽を奏でていきたいです。

●楽曲全体を知るきっかけに活用した、必聴のコメンタリー

――そして今回のBlu-rayでは、おひとりで1時間以上オーディオコメンタリーも喋られています。先ほど「反省会も含めて」とおっしゃっていましたが。

そうなんです。私、自分のライブは映像商品にならなくても、マネージャーさんに撮ってもらった映像を使って、家で必ず反省会をするんですよ。普段とは違ってそういう自分の生の感想をオーディオコメンタリーとしてみんなと共有できて、とっても楽しかったです(笑)。

――具体的に言葉にすることで、自分の中の漠然とした感覚がよりはっきりと形になったりもしました?

しました! 言葉にすることによって、スッキリもしますよね。いつもだったら家でただ心の中に気持ちをためておいていただけですけど、今回はそれを言葉にして、しかもみんなに発信もできたので。

――コメンタリーではライブ中の感想に加え、今まで話されてこなかった楽曲制作の裏話なども飛び出したりと、内容も非常に濃いものになっています。

ファン目線で考えたとき、きっとみんなライブの感想を共有するだけじゃなくて新しい情報も欲しいだろうと考えたので、ライブだけじゃなくて楽曲ごと全部深く知ってもらえればと思ったんです。なので「実はこのとき、こういう気持ちで歌ってたよ」とか、セットリストの中で自分がその曲を持ってきた理由や楽曲のレコーディング、制作過程のお話など、楽曲にまつわることもたくさんお話しさせてもらいました。

――そういう部分も含めて、何回でも観たいBlu-rayになったように思います。

わ、嬉しい。そう感じてもらえるのがいちばん嬉しいです!

――なおかつ、やっぱり次はライブに行きたいなとも思うでしょうし。

うん! 私もやっぱり、会場に「お客さんいてほしい!」って強く思いましたもん(笑)。どこにいても観ることが出来るオンラインライブも良いですけど、お客さんがいたら皆さんの熱量が直接伝わってくるので私もテンションあがりますよね!今はオンラインライブでたくさん経験を積んで、次にワンマンライブが開催できたときにはもうポリープとか関係なく、ひとりのアーティストとしてまた成長した姿を皆さんに直接披露したいですね。

――有観客といえば、このBlu-rayのリリースイベントにも有観客のものがあるとのことで。

はい。今まではネットサイン会とか、ミニライブを配信したりしていたんですけど、今回は20名様限定でトーク&ミニライブにご招待します。お客さんを入れるリリイベは約1年ぶりなのでぜひ遊びに来ていただきたいなとは思っているんですけど、今回もなかなか足を運べないような状況の方もいらっしゃるかもしれないので、生配信もご用意しています。配信でも歌もトークも現場と変わらず楽しめるものにしますので、無理せずに参加していただけたら嬉しいですね。

――20人ということは、お客さんのスペース的にもゆったりめになりそうですね。

かなりゆったりだと思います。内容はこれから練っていくところなんですけど、トークで”ERA”について掘り下げた話をするのはもちろん、ライブパートでも”ERA”で歌った曲のどれかを披露したいとは考えていて。会場にいらっしゃる方も、オンラインで見てくださってる方も、みんながゆったり楽しんでもらえるような楽曲を歌いたいなと思っています!