番組の中では、一摩さんや大宮シェフから様々な印象的な言葉が飛び出すが、上白石の心に一番響いたのは、レストラン大宮の先輩・七久保さんが、一摩さんに食材の包丁さばきを指導するときにかけた「オレンジの気持ちになるんだよ」だ。
「食材を扱うっていう作業がどれだけ大変なのかということが分かりましたし、食材と話し合って毎日料理を作ってらっしゃるんだろうなというのが、すごく分かりました。これは七久保先輩の名言ですね」
一方で、自身がもらって印象に残っている言葉には、ある作品で演出家からかけられた「もっと恥をかきなさい」という言葉を挙げた。「この役難しいな、自分が解放できてないなと思っているときに言われて、すごく残っています」と、役者としての糧になっているそうだ。
■ナレーションで意識する「寄り添うこと」
これまでも、数多くの番組でナレーションの仕事をしてきたが、「普段お芝居をやらせていただいている身としてできることは何かと考えたときに、やっぱり寄り添うことだったり、心情を代弁して読むことだったりするのかなと思うんです。モノローグ的なところは残しながらも、感情になるべく寄り添うように、でも映像の邪魔をしないようにというポジションを探ったつもりです」という意識で臨んだそう。
その上で、「ブースのちょっと隔たれている感じも好きだし(笑)、やっぱり映像が面白いので、それに声を当てていくのはすごく楽しいですね」といい、「声って生モノだし、ちょっとのことでニュアンスが変わったりするので、そこは指導してくださるスタッフさんを信じてやっています」と信頼を寄せていた。
●上白石萌歌
2000年生まれ、鹿児島県出身。11年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、デビュー。以降、テレビ、映画、舞台、「adieu」名義での音楽活動など幅広く活躍。18年『羊と鋼の森』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作に、ゲスト声優を務めた『劇場版ポケットモンスター ココ』(20年)、ドラマ『義母と娘のブルース』(18年)、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年)、『教場II』(21年)など。21年夏には主演映画『子供はわかってあげない』の公開を控えている。