■株式投資は損得だけ考えているとうまくいかない

個別株投資はどうしても目の前の損益に目が向きがち。しかしかぶ1000さんは、損得勘定に左右されるより、長い目で見て楽しく継続する方が、結果的に成果が出やすいと語る。

「損が怖いのは値段だけ見ているからです。人間関係が損得関係だけだとうまくいかないのと一緒で、投資についても、常に自分が必ず得するかたちではなく、トータルで利益や経験を得られることを目指すべきですね」

「例えば5,000円で買った服が、メルカリで1,000円でしか売れなかったからって、その消費が間違いとは限らない。好みの服を買った瞬間の喜びや、着用する楽しみ、もしくは『こういう服は自分には似合わない』という経験は得られているはずです。株だって結果的に損切りしたとしても、保有期間に配当や優待などを享受したかもしれないし、投資の経験をまた一つ踏めたことになります」

「割高な銘柄も割安な銘柄もあるけど、目先の株価ばかり気にするのではなくて、その会社のファンなら、株価が下がったときにはバーゲンセール感覚で買い増すのも良いのではないでしょうか。日常生活と同じ感覚で向き合っていく方が楽しく継続できると思いますし、結果的にそれが成果となって出て来ると思います」

1人でも多く投資家が増えてほしいと考えているかぶ1000さん。最後にこんなメッセージをいただいた。

「もし株でもうかったら、一部でもいいのでもうかった会社のモノやサービスを買って、恩返しじゃないですけど、少しでも経済を回す意識を持って頂けたらと思います。日本は個人の金融資産の半分以上を銀行預金に眠らせていますが、銀行任せでは限界があります」

「今や100円から株式投資できる時代ですし、たとえ1万円でも1億人が動けば1兆円の規模になります。こうしてお金が動き、回っていくのが資本主義経済の一番いいサイクルで、そこに参画することで恩恵が受けられるのが株式投資の醍醐味だと思ってます。株式を買うということは資本主義に参加するためのチケットを手にするということ。まずは1枚目のチケットを買ってみてはいかがでしょうか」

取材: 横山茉紀
構成: 伊藤綾

『貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術』(かぶ1000 著/ダイヤモンド社 刊)

中学2年生のときに、5歳から貯金していた40万円を元手に株デビュー。以降、30年以上株式投資一筋の末、2019年にはついに4億円を突破した著者。Twitterフォロワー12万人の名物投資家である著者が、保有株全体を1つの会社に見立てる考え方や銘柄との付き合い方など、投資初心者にもわかりやすく解説。