●声やしぐさで個性を表現したい

――続いて、本作にて奥仲さんが演じられるキャラクターについて教えてください。

私が演じるマリアは、身寄りのない子供たちがいる孤児院で、戦闘教官として教育を行っているシスターです。辛い過去がありながらも強さや優しさを持ち合わせていて、母性があふれているんですよ。

――舞台でキャラクターを表現するうえで意識したいと思っていることは?

声が大事だと思っています。最初にキャラクターの資料をいただいたときも、「声をどうしようかな」と考えていました。第1弾の舞台公演を拝見したとき、演じているみなさんが個性を発揮されて、キャラクターを仕上げていらっしゃったんです。だから、私もマリアを演じるうえで、個性を付けなきゃいけないと感じています。個性は声やしぐさひとつで変わると思うので、スタッフさんと話し合ったり、色々なアニメを見て勉強したりしながら、キャラクターをしっかりと作っていきたいですね。



――奥仲さんは『ダンガンロンパ THE STAGE~希望の学園と絶望の高校生~』など、ゲームやアニメが原作の舞台にも出演されたことがあります。普段ドラマで役を演じるときとそういった舞台では、感覚は違いますか?

全く違いますね。まず、ドラマと舞台では発声の仕方が異なります。加えて、ゲームやアニメが原作となると、元となるキャラクターが存在するんですよね。ドラマではリアリティや人として違和感がない芝居を意識したり求められたりすることが多いですが、元となるキャラクターが存在する場合は、いかにそれを忠実に再現できるかを重視しています。それは容姿も声も。それだけに自分がどれだけ近付けるのかという不安も感じますが、キャラクターというお手本がある分、役作りはしやすいかな。

――マリアに関しては、まずは舞台を通して奥仲さんがその存在を発信していくこととなります。

キャラクターを自分で作り上げて、命を吹き込ませていくことは、なかなかできることではありません。だからこそ、よりキャラクターを大事にしていきたいですし、自分だけじゃなくて、みんなで一緒にマリアという人物に愛を注げていけたらなと思っています。

――先ほど第1弾の公演を見たとおっしゃられていました。改めて、舞台を見た感想を教えてください。

役者さんの熱量やパワーがものすごく伝わってきました。場面が目まぐるしく変わっていくのでスピード感があって、圧倒されましたね。

――その一員として、奥仲さんも加わることとなります。

あの世界に私も踏み込めると思ったら楽しみで仕方ないですね。マリアは独特な世界観を持っている気がしているので、スピード感があるなかでも、他のキャラクターとは違った見せ方ができればと思っています。ギャップを意識して演じていきたいですね。

――眼帯をしているのも気になります。

きっとものすごい秘密があるんじゃないかな(笑)。その理由が何なのか、明かされていくのを私自身も楽しみにしています。

●「来てよかった」と思ってもらえるように演じます

――今回は舞台への出演となりますが、「ROAD59 -新時代任侠特区-」はメディアミックスコンテンツなのでさまざまな展開をしていくと思います。その中で奥仲さんは、どのようなことに挑戦してみたいですか?

声のお芝居をやってみたいです。私、自分の声がコンプレックスなんですよね。あんまり好きじゃなくって。コンプレックスを活かした仕事をすることで、好きになりたいんです。

――本舞台には声の仕事、いわゆる声優の活動をメインにされている方々も数多く出演されています。

第1弾の公演のときに声優の方々がお芝居をされているのを見て、感動しました。発声の仕方から違って、心の底からすごいと思ったんです。私もみなさんから色々と学ばせていただき、将来的には声のお芝居も体を使って表現するお芝居もする、色々なフィールドで活躍できる役者になりたいですね。

――お芝居に貪欲なんですね。

私、すごく不器用な人間なので、何をこなすにしても人の何倍も時間がかかるんですよ。その分、ひとつ何かができたと思えるたびに、達成感も人一倍感じられるんです。不器用な人間だからこそ貪欲にしがみついて、達成感を味わいたいんですよね。

――お話を聞いてきて、奥仲さんはお芝居をはじめ、エンタメに熱い気持ちを持っていらっしゃると感じました。そんな奥仲さんにとって、エンタメとはどういう存在ですか?

表現する場所。表現を見てもらう場所ですね。どんな芝居をするうえでも、自分ではない誰かを演じることになります。それを作り上げていく作業って、すごく特殊だと思うんです。生きていくなかであまり経験できないことを体感させてもらえているし、人とたくさん関わって、人間的にも成長できる。こんな楽しい世界、他にはないと思う。

――悩むときもあったけども、エンタメが好きという気持ちを持ち続けられている。

そうですね。5年も悩んでも、この年になってもこの仕事を続けていたいという気持ちでいるのは、やっぱり好きだから。好きだから、必死になれる気もしています。

――本日は色々とお話くださり、ありがとうございました。最後に、2021年4月に上演される舞台への意気込みをお願いします。

まず、以前のように舞台に立ってお芝居をする、それを見てもらうことが難しくなったご時世で、こうやって公演ができることが嬉しいです。見に来てくださった方々に感謝しながら、みなさんの心をつかみ、「来てよかった」と思ってもらえるようにマリアを演じますので、応援よろしくお願いします。

――スタッフさんや関係者だけでなく、これまで応援してくださった方や、お芝居を見てくださる方への恩も返していきたい。

本当にその通りなんです。みなさんに良かったと思ってもらえるようなお芝居ができるよう、これからも精進します。