「いただいた仕事を“正解”にしていく」。これは女優・堀田真由が役柄を演じる上で大切にしている言葉だ。2015年にWOWOW連続ドラマ『テミスの求刑』で女優デビュー後、映画やドラマのヒット作に恵まれ、存在感を増している堀田は、「最近は1人の人間として認めてくれているんだっていう実感はあります」と謙虚に語る。地元の滋賀から上京し、「成功するまで家の敷居はまたがない」という覚悟で女優業に邁進してきた堀田は、あの時思い描いた自分になれたのか。本人に話を聞いた。

  • 女優の堀田真由

多くの俳優たちがインタビューで答えているように、およそ一般的に俳優の仕事に“正解”はない。しかし、堀田はどの仕事も“正解”にしていく作業に注力している。ある人の言葉がきっかけだった。

「事務所の部長さんから『どんな小さな役でもあなたはちゃんと正解にするよね』と言われたことが、うれしかったんです。私自身がやっていることを認めてもらえたと思ったと同時に、これからも変わらず、自分の中で満足がいくような、やりきったという達成感を大切にしようと思いました。“正解”という言葉の意味は、丁寧に仕事をすることなのかなと思っています」。

そう言われた時期は、昨年大ブームになったTBS系ドラマ『恋はつづくよどこまでも』で、主人公・七瀬(上白石萌音)の同期で小児科の新人看護師・菅野海砂を演じた時のことだった。

「『恋つづ』では、メインの病棟ではなく小児科の看護師役で、シーンが少ないと自分自身の役を視聴者のみなさんに向けて表現していくことは難しいのですが、そのポイント、ポイントで『あなたは正解を残せていた』と部長さんに言っていただいてハッとなったんです。ちょっとしたシーンでも観ている人はいるのだと。その言葉が本当に素敵だったのですぐにメモし、自分の中で大切な言葉になりました」。

菅野海砂は七瀬の良き相談相手という役で、出演する時間は短かったものの、確かに存在感があり、印象に残ったキャラクターのひとりだ。この役が、女優としてのマインド的な転機にもつながった、

「役と向き合っていく姿勢への自信になりました。これから映画の撮影に入るのですが、先日衣装合わせで、久しぶりにお会いしたプロデューサーさんに、『真由って本当に変わらないね』と言われてすごくうれしかったんです。『変わらない』って、褒め言葉だと思うんです。いい意味での『変わった』もあると思いますが、変わらないでいくスタンスで私はいいんだって。いろいろな方に素敵な言葉をかけていただき、自信につながっていると感じています」。