大震災を経て改善された"水の流通"

――東日本大震災以降、「サントリー天然水」の流通で改善された点や、取り組まれてきたことはありますか?

米谷:「サントリー天然水」はエリアごとに商品が「南アルプス」「奥大山」「阿蘇」 と分かれているのですが、緊急時はエリアの垣根を越えて迅速に配給できるように、商品ごとに分かれていたJANコード(バーコード下にある番号で、事業者と商品を表す世界共通の商品識別番号)を統一しました。これにより、今まではラベルに「どこどの天然水」と商品名を書いていたんですけど、今は「サントリー天然水 水源名」となっています。商品名の記載の順序を変更しました。

――災害があると、買い占めが起こったり、お店にある商品が無くなってしまうんじゃないかとか不安になることも多いと思います。

米谷:有事の際には、その瞬間に必要だと思って買いに走ることが多いと思うんですけど、店頭からなくなったっていう情報を見てまたみんな不安が増して、買わなきゃってお店に殺到してますます不安が大きくなっていくんだと思います。そのときに自分が慌てないようにするには、自分は備えているから大丈夫、なんなら身近な人にも分け与えられるぐらいの余裕を持つということは、水に限らず大事なことだと思います。今はいつ災害が起こるかわからないですし、ローリングストックや備蓄の啓発をしていくことは大事な活動だなって思っています。

水は「生きる」に一番寄り添う飲料

――他には、どのような取り組みをされていますか。

米谷:水の備蓄を億劫なものにしないということを伝えていきたい、という想いから「防災継承プロジェクト」を進めています。被災地の方にインタビューをして、その方々のエピソードをもとに、「こういうものがあれば良かった、あって良かった」という生活スタイルに合わせた必要なものを検索できるサイトを作ったりしています。

  • 「防災継承プロジェクト」の特設サイト

  • 被災地の方にインタビューをもとに、災害時にあってよかったものが紹介されている

――こうした取り組みも含めて、今後は「サントリー天然水」をどのように世の中に伝えていきたいですか。

米谷:水は他の嗜好飲料とは違って、「生きる」に一番寄り添う飲料だと思っています。その瞬間の渇き、リフレッシュというよりは、人生に寄り添う飲料だと思うので、こうした「防災継承」みたいなことも含めて、一番「生きる」に寄り添うブランドになりたいなと思っています。弊社の「サントリー天然水」って、雨になって大地に染み込んでから約20年かかるんですけど、弊社では地下水を育む森を育てる活動などもしていますし、今の価値をお客さんに伝えて、20年後、100年後にも、ずっと安心できる「サントリー天然水」を守り続けて、日本人にとっての一番なくてはならない飲み物になりたいなって考えています。