――為朝の相棒として、彼のことを孫のように優しく見つめる"ショベ爺"こと魔進ショベローの存在も重要でしたね。声優の岩田光央さんによって生命を吹き込まれたショベローと為朝の"かけあい"についてのご感想を教えてください。
ショベ爺にはいつも助けられましたね。為朝としては"おじいちゃん"思いの部分を意識しながら芝居をしていました。なんといっても、岩田さんがショベ爺をああいった味わいのあるキャラで演じてくださったことにより、意思疎通がスムーズにできたと思います。為朝としてはとことんカッコつけたいのに、おじいちゃんのショベ爺が何かと世話を焼こうとする。双方が絡むことによる相乗効果で、魅力が高まっていきました。
――ショベローと為朝が入れ替わってしまったエピソード19「相棒」も面白かったです。いつもと異なる雰囲気の為朝を演じたときの苦労とは?
何度か、プロデューサーさんが「どんなことをやってみたいか」とキャストのみんなに聞いてくださって、僕らのリクエストから生まれたエピソードがありました。あるとき出てきたアイデアの中で"キラメイジャー6人のキャラがぜんぶ入れ替わっちゃう"というのがあったんですけど、それが"キラメイジャーと魔進たちが入れ替わったら?"に変わっていきました。
最初はどういう風になるのかよくわからず撮影に入りましたけれど、今まで演じてきたキャラとはぜんぜん違うことをやらないといけないわけで、僕らもそうですけど声優さんたち、スーツアクターの方々もみんな混乱して、すごいエピソードになりましたね(笑)。
今までは、僕とスーツアクターのツタさん(蔦宗正人)が"2人でひとり"のキャラクターを作り上げてきましたが、あの回だけは僕、ツタさん、岩田さんの3人が力を合わせました。やっぱり、やるからにはこの3人にしかできないものを作りたかったし、他のみんなもすごく面白くなっていましたから、頑張りました。その結果、すごくカッコいいショベ爺、カッコいい為朝が表現できたと思います。3人でひとつのキャラクターを作り上げたという意味で、とても感慨深いエピソードです。
――キラメイピンク/小夜(演:工藤美桜)の発案で"キラメイバンド"を結成するエピソード24「バンドしちゃうぞ!」で、木原さんはボーカルとして劇中曲「勇気を奏でて」を華麗に歌いきりました。さすがの歌唱力に、ファンのみなさんから大きな反響がありましたね。
僕はダンス&ボーカルグループに属していて、役者を始める前からステージで歌っていましたから、この場で自分の持ち味、良さを活かすことができればいいな、と考えながら取り組みました。為朝が歌う曲なので、自分を出すというより為朝らしさをどう打ち出すか、を強く意識しました。キラメイジャーのみんなでバンドを組んだという設定でしたし、僕自身も演奏しているみんなのことを思いながら、気持ちを込めて歌いました。テレビシリーズの中間地点でもありましたし、キラメイジャーの仲間たちと一緒に「勇気を奏でて」を歌えたのは、僕の中でのターニングポイントになったかなと思っているんです。
――また、為朝のキャラクターソング「弾丸Shooting Star」もすごくアーティスティックなダンスナンバーで、木原さんの優れた歌唱力により「キャラソン史上最強」との呼び声高い曲となりました。キャラソンへの思いを聞かせてください。
最初メロディを聴かせていただいたとき、びっくりしました。こういう感じでやるのか!って。もうキャラソンって感じがしなくて、某有名アーティストが歌っていてもおかしくないと思えるくらいハイクオリティな曲が来ましたから、僕も生半可な気持ちではできないぞと、気合いを入れて収録に臨みました。ここでどれだけ聴く人の心を射抜けるか!みたいな思いが為朝にあると思いましたし、自分にもありました。
――エピソード25「可愛いあの巫女」では、為朝が心ときめかせた可愛い巫女さんが実は、ヨドン軍の幹部ヨドンナ(演:桃月なしこ)だった……という衝撃展開がファンを驚かせました。為朝にとってはかなりのショックだったようで、後々まで引きずる描写も見られましたね。
あの回を観た方からよく「為朝は"ボクっ娘の巫女さんが好き"」みたいな風に思われるのですが、それは大きな勘違いです。その部分じゃなくて、彼女のキラキラした輝きのところにときめきを感じたんです。輝いているな、いい娘だなって思ったら、その人がたまたま敵幹部のヨドンナだったという話で……。まあ、為朝の読みが外れてしまったってことですね。決して為朝が巫女さんファンだとか、そういうことではありません(笑)。
桃月なしこさんと撮影現場で初めてお会いしたとき、どういうお芝居をするのかなってドキドキしながら見ていました。為朝がいろんな感情を出していく中で、あちらはずっと無表情を貫いて、いいキャラクターを作られていました。なしこさん自身がすごくキラキラしていた印象です。
――後半のお話ですと、イエロー&ブルーのコンビが活躍するエピソード34「青と黄の熱情」や、仲間が次々と泥ダンゴに変えられる極限状況の中でイエローの立てた作戦が突破口を開くエピソード39「皇帝はスナイパー」と、イエローメイン回の傑作がどんどん出てきました。
その2つのエピソードはとても好きですね。どちらも為朝のとっさの判断や作戦によって仲間のピンチを救う部分が強調されていました。ああいうところが為朝の"良さ"であり、これまでキラメイジャーが強敵相手に戦ってこれた要因でもあるのかなと自負しています。
演じていてしみじみ思うのは、為朝は仲間を信じる気持ちが人一倍強いってところ。「皇帝はスナイパー」では、ツタさんの動きに僕の声が入ることで、最高にカッコいいキラメイイエローが完成した、と思える出来になったと確信しています。シャドンの目の前にイエローが現れたときの、挿入歌「ゴーキラメイジャー」がかかるタイミングの絶妙さ。そして、「どんなに傷ついても、仲間を救いたいという気持ちが、俺たちを強くするのさ!!」という熱いセリフに続き、キラフルゴーアローを呼んだ直後から歌が始まるんです! 僕は一人の特撮ファンとして、こういった展開がたまらなく好きなんです。血が騒ぎます。完成映像の出来栄えに心を奪われました。
――東京ドームシティ・シアターGロッソの役者公演で、子どもたちに直接出会ったときのお気持ちを聞かせてください。
ステージから見える子どもたちと、幼いころヒーローショーに熱狂していた自分自身がシンクロして、あの興奮に満ちたまっすぐな眼差しはこれから一生忘れないだろうなと思っています。Gロッソでは1日5公演をこなしますが、1回の公演の一瞬一瞬が僕にとってかけがえのないものになります。
――『キラメイジャー』で1年間「スーパー戦隊」のヒーローを演じられた木原さんですが、今後はどんな役柄にチャレンジしてみたいですか?
僕が憧れる3大特撮ヒーローは「スーパー戦隊」「仮面ライダー」「ウルトラマン」なんですが、そのすべてに"変身"してみたいという夢を抱いています。スーパー戦隊の夢は『キラメイジャー』で叶いましたから、あとは仮面ライダーとウルトラマンですね! いつか願いが叶うと信じて、これからも頑張っていきたいと思います。
――最後に、『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』での、為朝の見どころを教えてください。
映画は、為朝と充瑠がミンジョの攻撃を受ける場面から始まります。「夢の世界」に閉じ込められた2人を助けるため、キラメイジャーの仲間たちがどうやって夢の世界にかけつけるか、その手段にご注目ください。そして、夢の世界の謎を解き明かす為朝の"頭の冴え"もお見逃しなく! たくさんの人たちに映画を楽しんでいただきたいです。
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