MediaTekのDimensity 800Uは5G対応のミドルレンジ向けチップセットで、Snapdragonシリーズで言うならSnapdragon 765Gに迫る性能を備えています。メモリは4GBで、2021年のAndroidスマホとしてはもう一声欲しいかなと思う容量ですが、負荷のかかる処理以外はおおむねこなせるでしょう。
実際に使ってみても処理性能で不満に思うことは少なく、むしろ価格を考えるとかなり健闘していると感じるほど。Webブラウズや動画のストリーミング再生もサクサクこなします。
高負荷の3Dゲームは「低画質」なら耐える
3Dゲームは特に高いスペックが求められる『原神』を遊んでみました。推奨設定は「低画質」ですが、快適にプレイできました。試しに「最高画質」に設定してみても、激しい戦闘シーンでもない限りは安定して動作。3Dゲームを快適に遊びたいならより高性能なスマホを求めたほうが良いとしても、パズルゲームのようなタイトルを気軽に遊ぶ程度ならRedmi Note 9Tでも十分対応できそうです。
気になるのはストレージが64GBと、やや少なめなところ。たとえば『原神』のようなスマホゲームではインストールするだけで10GB以上の容量を使ってしまうため、スマホの保存領域は多いに越したことはありません。ただ、Redmi Note 9TではmicroSDカードで容量を追加できるため、保存領域の不足は補うことも可能です。
スマホを実用する上で気になる電池持ちも配慮されています。バッテリー容量は5,000mAhと大きく、15Wの急速充電もサポートし、充電も高速に行えます。付属のACアダプターは22.5Wの急速充電に対応し、Type-C充電が可能なノートパソコンやタブレットも充電可能です。
シャオミ初、おサイフケータイ対応!
Redmi Note 9Tはシャオミとして初めて、おサイフケータイに対応するスマートフォンとなりました。交通系電子マネーのモバイルSuicaをはじめとして、おサイフケータイのフルサービスが利用できます。
おサイフケータイのサービスはGoogle Payによる対応が進み、以前より使いやすくなっています。2万円のスマホでも使えるというのはうれしいところです。
最高ではないがオールマイティなカメラ
カメラはスマホでもっとも重要な機能の1つで、各メーカーがしのぎを削っている分野でもあります。低価格モデルのRedmi Note 9Tのカメラは最高性能というには及びませんが、実用シーンの多くをカバーする使いやすいものとなっています。
背面カメラは3眼仕様で、 4,800万画素(メイン)+200万画素(マクロ)+200万画素(深度センサー)という内容。3眼ではありますが、実質的には4,800万画素と高解像度なメインカメラを主軸に、マクロや深度センサーで弱い撮影シーンを補う構成となっています。
基本的には「悩まず使える」カメラで、接写も被写体から7cm程度まで寄って撮影できます。デジタルズームはセンサーの高画素を生かし10倍まで対応。AIによる補正機能で花や動物、夕焼けなどシーンごとに補正できるほか、ナイトモード / ポートレートモードを備えるなど、機能面でも現代のスマホカメラのトレンドはしっかり抑えています。
高画素センサーを大きなセンサーとして扱う技術により、夜景にもある程度は対応可能です。ただし、超広角レンズはないため、風景をダイナミックに撮りたいといったシーンでは物足りなく感じるかもしれません。
写りは悪くなく、料理のようなスマホでよく撮るものには強く、AIによる画質調整も癖が少なめで自然で、なんでも気軽に撮れるオールマイティに対応できるカメラでした。一方で、ハイエンドスマホと比べるとやはり暗所には弱めで、室内で小物を撮るケースなどで、被写界深度の浅さが目立つ印象です。
MIUI搭載で独自アプリ充実
シャオミのスマホの特徴として、独自UI「MIUI」があります。これはAndroid OSをベースに、ホーム画面や操作体系などで独自の工夫を取り入れて、プリインストールアプリも揃えたものです。
Redmi Note 9Tでは、Android 10に「MIUI 12」を搭載します。MIUI 12の操作体系でとりわけ印象的なのは、アプリ一覧画面(アプリドロワー)にジャンル別の分類が取り入れられていること。「コミュニケーション」や「エンターテインメント」といった種類に応じてアプリを自動で分類し、タブとして表示できるようになっています。
筆者はスマホのアプリを多くインストールする機会が多いため、一覧からアプリを探しづらくなるのが悩みになっていました。MIUIのようなジャンル別の分類があると、アプリを見つけるのに便利に思えます。
余談ですが、シャオミはアップルを意識したブランディングで成長してきた企業で、MIUIにはiPhoneに倣ったと思しき要素も多く存在します。以前のMIUIではAndroidとしては珍しくアプリドロワーを備えていないのも特徴でした。それがMIUI 12ではアプリドロワーを標準搭載すると同時に、アプリのジャンル別の分類も取り入れてきた形です。
折しもアップルは2020年のiOS14で「App ライブラリ」というジャンル別表示の機能を取り入れており、逆の見方をすればシャオミがキャッチアップしたような格好です。とはいえ、シャオミのジャンル別表示はAndroid流のアプリ一覧画面に馴染むようにデザインされており、単なる模倣にはとどまっていません。
このほかにも、MIUIにはプリセットアプリが多く、直感的な表示の「天気」、ほかのアプリの上に表示できる「電卓」、ARで方角が分かる「コンパス」など、凝ったツールを多く備えています。
また、シャオミのスマホならではの特徴となっているのが赤外線リモコン機能。赤外線信号を送信して家電を操作できます。Redmi Note 9Tでは「Mi リモート」アプリはプリインストールされていませんが、赤外線機能は対応しており、Google Playストアからダウンロードすれば利用できます(ただし、日本の家電への対応はあまり進んでいません)。
5G対応で新プラン「LINEMO」とも相性◎
2万円強という価格ながら、5G通信をサポートしているのがRedmi Note 9Tのよいところ。Redmi Note 9Tでは5Gの主力周波数帯のいわゆる「サブ6」や、既存のLTE周波数帯を利用した5Gサービスに対応。特に高速なミリ波帯は非対応となっています。
実際のところ、2021年の春時点では5Gがつながるエリアは都市部などに限られており、あまり意味はありません。ただし、5Gエリアは2021年度中に積極的に整備される予定となっており、年末までには5Gで快適に通信できる範囲が広がるものと思われます。
5Gに対応したRedmi Note 9Tは、ソフトバンクがオンライン限定でスタートする新プラン「LINEMO(ラインモ)」と組み合わせてもよいでしょう。
LINEMOは20GBで月2480円(税別)という従来より割安な料金設定ですが、5Gを追加料金なしで利用できるという点も特長となっています。割安なLINEMOと低価格なRedmi Note 9Tのコラボは、携帯代を節約したいなら理想的な組み合わせとなるかもしれません。
Redmi Note 9Tの主な仕様
- OS:Android 10
- CPU:Mediatek Dimensity 800U(オクタコア)
- メモリ:4GB
- ストレージ:64GB
- 外部メモリ:最大512GB
- ディスプレイ:約6.53インチ(2,340×1,080ドットのTFT液晶)
- メインカメラ:有効画素数約4,800万画素+約200万画素+約200万画素
- サブカメラ:有効画素数約1,300万画素
- 本体サイズ:W77×H162×D9.1mm
- 重さ:約200g
- 連続通話時間(FDD-LTE網):約2,200分
- 連続待受時間(FDD-LTE網):約450時間
- おサイフケータイ:〇
- バッテリー容量:5,000mAh
- Wi-Fi:IEEE802.11a / b / g / n / ac(2.4GHz、5GHz)
- Bluetooth:5.1
- フルセグ/ワンセグ:-/-
- 防水/防じん:-/-
- カラーバリエーション:ナイトフォールブラック、デイブレイクパープル