モバイル版RTX 3080とRyzen 9 5900HXの組み合わせ、実性能テスト
ここからは性能チェックに移りたい。まず、本機には総合ユーティリティの「Armoury Crate」にパフォーマンスのプリセットとして、動作音を静かにする「サイレント」、標準的な設定の「パフォーマンス」、CPUとGPUの性能を最大減引き出す「Turbo」が用意されている。基本ベンチに関しては、プリセットによる性能の違いも見ていきたい。
まずは、PCの総合的な性能を測る「PCMark 10」、CGレンダリングによってCPUパワーを測る「CINEBENCH R20」、定番3Dベンチマーク「3DMark」から見ていこう。
スコアは高い順に「Turbo」、「パフォーマンス」、「サイレント」と順当な結果となった。PCMark程度の負荷ではそれほど差は出ていないが、負荷の大きい3DMarkではスコアの差が顕著に出る。ただ、サイレントはCPU、GPU性能とも抑えめにする分、低負荷時にはファンの回転を止めるなど静音性が高める。PCMarkの結果を見る限り、ゲーム以外ではサイレントで運用するのもアリだろう。
次は、実ゲームでの性能をチェックしたい。ここからはすべてプリセットを「Turbo」に設定して測定した。まずは、人気のFPS/TPSで300Hzの高リフレッシュレートが活かせるフレームレートを出せるか試す。ゲームは「レインボーシックス シージ」、「フォートナイト」、「Apex Legends」を用意した。
レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を使って測定、フォートナイトはソロプレイのリプレイデータ再生時(約3分)のフレームレートを「CapFrameX」で測定、Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート「CapFrameX」で測定している。
レインボーシックス シージは最高画質でも平均270fpsオーバー、Apex Legendsも画質を下げればほぼ平均300fpsと300Hzのリフレッシュレートを活かせるフレームレートを出した。フォートナイトも最高画質で約150fpsと高いフレームレートを達成。さすがRTX 3080という結果だ。
続いて、重量級ゲームとして「アサシンクリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「サイバーパンク2077」を見ていこう。アサシンクリード ヴァルハラとウォッチドッグス レギオンはゲーム内のベンチマーク機能で測定、サイバーパンク2077は街中の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
どのゲームも最高画質でほぼ平均60fpsを達成。画質をワンランク下げれば最小(1%)も平均60fps超えとカクつくシーンがほとんどなくプレイできるようになる。
続いてレイトレーシング有効時の性能をチェックしたい。レイトレーシング対応の「ウォッチドッグス レギオン」、「サイバーパンク2077」を使用した。測定方法は上記と同様だ。
描画負荷を軽減する「DLSS」を有効にするのが前提となるが、最高画質でも平均60fpsを実現しているのは正直驚きだ。ノートPCでもレイトレーシングを美しさを堪能しながら快適にプレイできるのは実に喜ばしい。
最後に冷却性能を見ていこう。本機は底面から吸気、両側面と背面から排気する構造。底面にゴム足を付けることで少し高さを作り、吸排気をスムーズにさせている。さらにCPUにはThermal Grizzlyの液体金属グリスを使用。液体金属グリスは高い熱伝導率を誇るが、導電性があるため扱いづらいのが難点だ。ASUSではCPU上に特別なフェンスを設置することで大量生産を可能にしたという。
今回は、サイバーパンク2077を10分間動作させたときのCPU/GPU温度、CPU/GPUクロックをフリーソフトの「HWiNFO」で追っている。Armoury Crateのプリセットは「Turbo」だ。
GPUのクロックは1,500MHz~1,575MHzで安定。CPUクロックは前半は3.3GHz前後で安定していたが、後半は3.5GHz~4GHzの間で激しく変化する形となった。温度を見ると、GPUは68℃でほぼ安定と十分冷えているのが分かる。CPUは一瞬80℃に到達しているがほとんどが75℃以下とまったく問題の無い温度。これなら高負荷な状態が続いても冷却の心配はいらないだろう。
CPU、GPU、ディスプレイともハイスペック。ゲーミングPCとして現在最高峰の一つと言っていいだろう。32万円と高額だが、性能に妥協したくない人にとってはこれ以上ない選択肢ではないだろうか。