――工藤さんが歌われた小夜のキャラクターソング「キセキをユメみる?」はムーディなジャズナンバーで、小夜の"大人"っぽい雰囲気が強調された歌曲になりました。キャラソンについてのお話を聞かせてください。
小夜のキャラソンはどんな歌になるんだろうと、決まったときからずっと楽しみにしていました。プロデューサーさんからメロディー部分だけ先に聴かせていただいたときは「なに、このオシャレな曲!?」と驚きました(笑)。本当に、オシャレなお店でかかっていそうなメロディーで、小夜が歌うとどうなるんだろうと、いろいろ想像しました。ここに歌詞がついたら、いっそうすごく"甘々"な感じになっていて、楽しく聴いていただけるにはどのようにすればいいか、考えながら収録に臨んでいます。理想であり、目標にしていたアーティストは椎名林檎さん。事前に林檎さんのCDをいくつか聴いて、こういう歌い方もあるんだ……と学ばせていただきました。もちろん真似ができるほどの歌唱力はありませんけれど、楽しく歌うことができましたね。
――歌われたときには、どんなところに注意されましたか。
小夜は表面的には"優しさ"を前面に出していますけど、本音の部分をなかなか見せないキャラクターです。そういったミステリアスな雰囲気をかもし出しつつ、小夜のかわいらしいところや、ちょっとした"感情"がわかるように歌いたいと思いました。収録のときには、小夜の"うれしさ"を声で伝えられるように、あえて笑顔で歌うなど"演技"することを意識しました。ちょっとセクシーさも表現してみたいと思って、吐息交じりの声を出していますけど、ファンのみなさんはどんな印象を持たれたのか、気になるところですね(笑)。
――小夜と魔進ヘリコ(声:長久友紀)さんとのかけあいについては、どんな印象を持たれていますか。
最初は小夜がお姉さんで、ヘリコが妹みたいな感じかなと思っていたのですが、だんだんと同年代の女ともだちみたいな、気さくな関係になっていきました。ヘリコには人間的な感情がわからないのかもしれないですけど、小夜が落ち込んでいたらなぐさめてくれて、喜んでいたら一緒に喜んでくれる、最高のパートナーですね。ヘリコと小夜とは、どんなかけあいも印象深いです。長久さんのキャラクターボイスが最高にかわいいんですよ(笑)。
――エピソード19「相棒」で、小夜の体の中にヘリコの魂が入ったときのお芝居について、どんな部分に注意されましたか。
ヘリコが"幼い"印象なので、小夜の精神が5歳になったとき(エピソード6『ツレが5才になりまちて』)と演技が似ちゃうんじゃないかと思って、以前とはまた違った感じにしようと心がけました。ヘリコの魂が入ったキラメイピンクを、スーツアクターの下園愛弓さんが先に演じられていたので、下園さんにお尋ねしてみたんです。そうすると「ヘリコは人間になったことがないだろうし、普通の人間がやらないような動きをやればいいよ」とアドバイスしていただいて、それで"振り切った"演技をすることができました。ヘリコのかわいい部分が表現できていればいいな、と思いながらいろんな動きをしてみました。
――キラメイピンクのアクションを務める下園さんとは、演技面でどのようなお話をされていたのですか。
毎回の台本を読みながら、どんな風にキラメイピンク/小夜を作り上げていくか2人で相談をするんですけど、常にガッツリと話し合っているわけではないんです。どちらかといえば、お互いの動きを観察することで、ひとつの形に近づけていく感じ。私の場合、下園さんの仕草やちょっとした動きから「ああいう動き、小夜さんぽいな」と感じ取り、自分の演技に取り入れたりしています。下園さんのキラメイピンクは立ち方ひとつでもすごくきれいなので、私も普段から立ち方や構え方を近づけるよう、意識していました。
最初の映画『エピソードZERO』で、寝ているベチャットの上に座って足を組んだ状態で銃を撃つキラメイピンクがすごくセクシーで、小夜さんならこうだよね!って感じだったので、下園さんに「もっとセクシーに戦ってほしいです」とリクエストしたことがありました(笑)。そうやって、キラメイピンクがカッコよさとセクシーさを打ち出しながらアクションされているので、アフレコで私が声を入れる際もいろいろと役のことを考えながら取り組もうと心がけました。
――アクションといえば、東京ドームシティ・シアターGロッソの「役者公演」では、工藤さんをはじめとするキラメイジャーの6人が出演され、みなさんスピーディな立ち回りを披露されていましたね。昨今の"コロナ禍"の影響でイベント関係が相次いで中止になり、子どもたちと直接会う機会が激減した状態だけに、Gロッソ公演は貴重な機会だったのではないですか。
そうなんです。『キラメイジャー』を見てくださる方々の反響はSNSなどですごく伝わってくるのですが、直接お会いできない寂しさもありました。Gロッソ公演では、ファンのみなさんの反応を私たちが直接見ることができるので、とてもうれしかったですね。ステージに出て、パッと客席を見渡したとき、小さな女の子が小夜の隊員服を着ているのを見つけたときは感激しました。本当に、ピンクの隊員服姿で観に来てくれる人が多くて、うれしい限りです。今はウイルス感染対策のため"声"を出さないようにしていただいているため、代わりにペンライトや拍手で私たちを応援してくれているのを見て、感動で胸が熱くなりました。
――そしてこのたび『キラメイジャー』劇場版が公開されました。本来は昨年の夏に公開予定だとうかがいましたから、まさに待ちに待った感じですね。映画ではミンジョ役で壇蜜さんがゲスト出演されるという話題がありました。
壇蜜さんは、キラメイジャーのみんなにラムネ菓子をプレゼントしてくれたんです。すごくユーモアのある方で、こちらが予想もつかないことを言って驚かせてくれました(笑)。とても優しい雰囲気をお持ちでしたね。共演したシーンがそんなに多くなかったのが残念で、もっといろいろお芝居で絡みたかったです。
――『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビー・バップ・ドリーム』での、工藤さんの見どころを教えてください。
夏祭りの縁日で、みんなと一緒に浴衣を着たシーンにご注目ください。ミンジョによって小夜が金魚みたいに小さくされ、水の中でもがくくだりでは、人生初の「ワイヤーアクション」を経験しました。ワイヤーに吊られて水中を泳いでいる演技をしたんですが、それがとても大変でした。翌日、体のあちこちが筋肉痛に……(笑)。水中での演出はとても面白く仕上がっていますので、ぜひ映画館でお楽しみください!
――工藤さんが『キラメイジャー』に出演できてよかった、と思える出来事があれば教えてください。
夏ごろ、私が体調を崩してしまい、みんなにも迷惑かけちゃってどうしようどうしようと不安を抱えていたんですけど、5人がいつもそばにいて、優しい言葉で支えてくれたことがあったんです。特に由芽ちゃんはずっと寄り添ってくれて「大丈夫だよ」って励ましてくれました。由芽ちゃんはプライベートな面でも相談に乗ってもらったり、時には「そうじゃないんじゃないかな」なんて、違う意見も言ってくれたり、ずいぶん助けてもらいました。この1年、5人の仲間と出会ってすごくいい影響を受け、私自身"変わった"と思うことがたくさんありました。6人でキラメイジャーとして1年を過ごせた、それこそが私にとってとてもうれしく、楽しかった出来事です。
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