3人の代表は国内eスポーツの動きをどう見る?

――最近では、さまざまな企業のeスポーツ参入も増えましたが、ここ数年の国内eスポーツシーンをどのように捉えていますか。

髙尾:最近では、eスポーツというキーワードが、ゲーム業界以外からも脚光を浴びるようになって、可能性がグッと広がったように感じます。例えば、eスポーツを福祉に活かすとか、運動会の1つの種目にするとか。企業の社内イベントに使うようなケースもあります。

実際に我々が受けるお仕事の中にも、そういった需要が増えてきていて、いわゆるプロのシーン以外にもeスポーツが広がりを見せている印象がありますね。

古澤:まさにそれと重なる話ですが、ここ数年でeスポーツに求められる社会的な役割が大きく広がったと思います。ゲームイベントを開催する主催側の意図も、ゲームの販促目的だけではありませんし、参加する人の理由も多種多様に広がりを見せています。

ゲームが本来持っている楽しさや、そこから生まれる喜怒哀楽と、地方創生や教育、福祉などが掛け算されて、世の中に対して説得しやすい事例も出てきている。それは大きな変化として感じている部分ですね。

谷田:最近は、誰もが知っているような企業さんがeスポーツに参入されることに、だんだん「新しい」とか「珍しい」と思わなくなってきましたよね。違和感なく受け入れられる事例も増えてきて、一歩先に進み出しているように感じます。

もう1つ、2020年はコロナの影響もあって、さまざまな大会・イベントが中止や延期を余儀なくされました。その中で、選手たちが自分たちを見続けてもらう理由を作って、ちゃんと発信してきたことがすごく印象的でしたね。

ファンにとって、オフラインの会場に行けなくとも、自分の好きな選手が好きなゲームをプレイしている姿を見続けていいんだということを、強く肯定した1年だったなと。3~5年前と比べれば、そういう姿を見たいと思う人の存在が、かなり当たり前になってきたなと思います。

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――現在の国内eスポーツシーンにおいて、課題を感じていることはありますか?

谷田:国内のeスポーツプレイヤーの中にも、世界大会で結果を出して数千万円を稼ぐような、恵まれた収入や地位を獲得する事例が出てきました。それはすごく喜ばしいことなのですが、まだ事例としてはごく一部。そのシーンで活躍する多くのプレイヤーにとって、それが身近になるような環境は国内にまだありません。

大会で結果を出して良い待遇を得ることはもちろんですが、2020年の出来事で1つヒントになったのは、eスポーツプレイヤーたちによる動画配信でのアウトプットが増えたこと。そういったものを付加価値としながら、eスポーツプレイヤーとして活躍できる人のパイを、もっと増やしていく必要があると考えています。

古澤:谷田さんの話にもつながるのですが、僕が思う課題は競技シーンの継続性です。トッププレイヤーに続く層を増やしていくためには、活躍の場が必要じゃないですか。それはつまり、継続的に参加できる輝かしい舞台。その舞台となる大会やリーグの継続性が担保されていないことが、国内外問わず課題だと考えています。

そこには継続できないさまざまな理由があるわけですが、多くが「お金」だと僕は思っていて。継続性を少しでも担保できるように、興行としてお金が回る仕組みを作っていく必要があるんですよね。

例えば、コロナの影響でライブ開催が難しくなった音楽シーンでは、オンラインライブを配信して、その体験に対してファンがお金を出す形が生まれました。eスポーツではまだ、どの大会も無料で観るのが当たり前の感覚ですが、業界全体で変えていけたらいいと思います。

髙尾:僕もかなり近い回答ですね。僕らとしては、ゲームを本気でやっているプレイヤーには、ぜひプロを目指してがんばってほしい思いがあります。そもそも、そういったプレイヤーが出てこなければ業界が発展しないので、背中を押すことが僕自身も多い。でも、それには活躍するシーンがあることが必要です。

そのシーンを約束できればいいのですが、まだまだ不安定な部分があります。パブリッシャーやメーカーが開く公式大会はあっても、それ以外が主催するサードパーティ大会が少なく、現状国内において活躍の場は多くない。活躍する場がなければ、「君は才能があるからがんばれ」と背中を押したところで、がんばる先がないんです。

なので、人任せにするのではなく、僕らが活躍の場を作っていきたいなと。そうした場を通じて、僕らが感じている価値を世の中に広めることができれば、もっと注目を集めるものになって、より金銭的な価値も生まれていき、良いスパイラルが回っていくでしょう。

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ウェルプレイド・ライゼストの代表が描く夢

――皆さんが描く今後の展望や、実現したいと考えていることについて教えてください。

髙尾:まずは、今お話したように活躍の場を増やすことですね。ゲームには、プロを目指してプレイする人たちだけではなく、ライトに遊んでいるユーザーもいれば、観ることを楽しんでいる人もいます。いろんな楽しみ方に対して、もっと満足できるシーンを作っていきたいと考えています。

あと、これは少し大きな話になりますが、音楽の野外フェスってあるじゃないですか。フェスでは、目当てのアーティスト以外のステージも観てみようとか、皆そこにいる人が音楽好きだからすぐ仲良くなれるとか、そういった文化が僕はすごく美しいなと思っていて。

eスポーツにもFPSゲームとか格闘ゲームとか、いろんなジャンルがありますよね。でも、自分が好きなジャンルのほかにはそれほど興味がない人も多くて、ジャンルを超えたつながりがあまり強くないと感じているんです。

なので、もっとおもしろいゲームやコミュニティに触れられる場として、フェスのようなイベントを開催できたらなと。今後の情勢による部分もありますが、規模の面でも合併による選択肢の広がりを実感しているので、僕としては実現を目指したいと思っています。

古澤:ウェルプレイド・ライゼストとしての具体的な落とし込みは、まだまだこれからなのですが、僕が実現したいことは2つあります。

まず1つに、僕はeスポーツが将来、義務教育課程に入ることを信じてやみません。最近では、小学校でプログラミングやダンスが必修化されましたが、そんなこと昔は想像もつかなかったですよね。僕らが高校生のころは、不良のものだとイメージされていたブレイクダンスが、今では体育として認められているわけです。

だから、いつかeスポーツが義務教育課程に入る未来があると考えたとき、ウェルプレイド・ライゼストとしてのビジョンを達成するために、どういう活動ができるかという発想を大切にしていきたいと考えています。

そして、もう1つ信じているのは、eスポーツがオリンピック競技になること。アジア競技大会ではなく、夏季もしくは冬季オリンピックの公式メダル種目としてです。

それが実現したときに、もちろん選手には輝いてほしいし、日の丸があがって君が代が斉唱されるような世界を見たいと、1ファンとしての欲求もあります。でもそれだけでなく、やはり制作をやっている立場としては、その歴史的なシーンに裏方として携われたら、どんなに素敵だろうかと思うんですよ。

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谷田:もともと両社とも、一番の根本はそこなんですよね。その歴史的な盛り上がりが生まれた瞬間に携わっていないとしたら、もはや何のためにやっているんだろうって。

髙尾:我々としても、当初から言っていたことですね。

古澤:数ある目標の中でも、僕はこの2つを働く原動力にしていきたいと思っています。

谷田:僕が実現したいことはシンプルです。僕は5歳の息子がいるんですが、七五三のお参りに行ったとき、息子が絵馬に「ゲームが上手くなりたい」と書いたんですよ。僕が何か言ったわけでもないのに。

そのとき、僕のような立場の大人でなくとも、「ゲームが上手くなりたい」と言った子供に、「いいよ」と言ってあげられる世界をつくること。それが、今2人が言っていた世界の先にあるのかなと思います。

――現在、ウェルプレイド・ライゼストでは採用募集を出されています。どんな仲間を求めているか、最後にメッセージをいただけますか。

谷田:eスポーツの世界で、自分が叶えたい未来を持っている人を求めています。ウェルプレイド・ライゼストが、eスポーツの領域で叶えたいと思っているビジョンは、皆のやりたいことを絶対に内包できる自信があるので。あなたの夢を叶える一番の近道はウェルプレイド・ライゼストにあるので、ぜひその夢を一緒に叶える仲間になってください。

髙尾:ゲームやeスポーツが好きな方に来ていただくことが多い業界ですが、僕はその想いを言葉にすることを重要視しています。なぜeスポーツが好きで、なぜ熱狂しているのか。そういうところを語れる人に来てもらえるとうれしいです。

古澤:職種としては、プロデューサー、ディレクター、大会運営、技術スタッフ、PR広報を募集しています。

RIZeSTでは、アルバイトからスタートしたメンバーが、2~3年でディレクターになりプロデューサーになり、気づけば国内を代表するようなリーグでプロデューサーをやっているような例もあります。業界自体がまだ若いこともありますが、これってすごく夢があるなと。そういう夢を叶えている人たちを間近で見ていて、とても誇らしく思っています。

大きな規模の大会を作り上げることができて、しかも作ったものに対する評価をファンからリアルタイムでもらえて、その中で自分がタクトを振れる。そういう業界って、あまりないんじゃないかな。しかも、それが20代で経験できる。自分のがんばりとやる気さえあれば手が届く、夢のある仕事だと思います。

経験の有無に関わらず、そういう夢を僕らと共に見てくれる人と、ぜひご一緒したいと思っています。

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